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ホビット 竜に奪われた王国のbackpackerのレビュー・感想・評価

3.0
◾︎ホビット三部作第二章

【作品情報】
公開日   :2014年2月28日(日本)
作品時間  :161分
監督    :ピーター・ジャクソン
製作    :ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、キャロリン・カニンガム
脚本    :フラン・ウォルシュ、フィリパ・ボウエン、ギレルモ・デル・トロ、ピーター・ジャクソン
原作    :J・R・R・トールキン
音楽    :ハワード・ショア
出演    :マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、イアン・マッケラン、ベネディクト・カンバーバッチ、ルーク・エヴァンス、オーランド・ブルーム、エヴァンジェリン・リリー、ほか

【作品概要】
『ホビットの冒険』を原作とし、若きビルボ・バギンズと13人のドワーフが、邪竜スマウグにより滅ぼされしドワーフの王国エレボールの復興のため旅立ち、エレボールの王権の象徴たるアーケン石等を巡る争いに挑む冒険譚三部作の第二章。
本作にて、邪竜スマウグ(CV:ベネディクト・カンバーバッチ)が本格的に登場し、その邪智暴虐の限りを尽くす圧倒的姿がようやくスクリーンを踊った。
ドラマ『SHERLOCK』にて世界中に知られる俳優となったベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンの共演も、ようやくスクリーンに映されたのである。

『ロード・オブ・ザ・リング』(以下LOTR)三部作にてモーションキャプチャー俳優の第一人者となったアンディ・サーキスは本作では出演していないが、実は全編の第2班監督を努めている。PS3用ゲーム『Heavenly Sword』のディレクター等の経験はあれど、本格的な監督業は初のこと。
『ブレスしあわせの呼吸』で初めて監督を努め、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』でも監督をするなど、演技から映画製作へと舵を切る最初のきっかけとなった映画と言える。

本来二部作を予定していたところ三部作としたことの影響は、本作の終わり方等からも見て取れるが、一つの作品としては十分面白い。
もっとも、第一章と比べれば分かる通り、単体での一段落感はまったくない終わり方のため、クリフハンガーがすぎると感じる。


【作品感想】
前作にて、穢れの王アゾグから辛くも逃れた旅の一行は、闇の森へと足を踏み入れ、闇の森のエルフの王スランドゥイルに捕まってしまい……。

という立ち上がりからして、ビルボの機転の効き方・知恵者ぶりが素晴らしい。
勇気を持ってシャイア(ホビット庄)から踏み出し、数々の冒険を経たビルボの確かな成長を、開始早々から満額回答してくれます。

といっても、湖の町エスガロスに至るまでの、樽による川下りがPOVになっていることに技術的成長を感じて……等の感想はありますが、どうしても作品どうしの"繋ぎ"感が強く、「この後クライマックスだけど、この作品じゃ完結しないし……」というフィルターが働いてしまうのも事実。

後半のはなれ山への進入とスマウグとの戦いはさすがの迫力ですが、基本的に
ピンチ!→切り抜けた!→またもピンチ!→どうにかなった!→大ピンチ!→助かったぁ
という山あり谷ありの繰り返し、それも前回のピンチを上回るピンチ!みたいなインフレを反復する傾向は相変わらずのため、少々単調・マンネリで、お腹いっぱいになってしまいがち(オリジナルで入れたロマンス要素まで同傾向にあるのはホントどうなの……)。
絶体絶命の劣勢からの挽回起死回生ぶりも、LOTRでも十分すぎるほど堪能したため、正直食傷気味です。

その上、本作は、原作が一冊の小説であるものを三部作仕立てにした中の、第二章というところが逆にネック。
LOTRは原作も三部作のため区切りがしっかりとしているのですが、本作は物語の切れ目を制作陣に丸投げしてしていることもあり、「え!ここで終わり!?」という感じがなんとも。上述しておりますが、連続ドラマの終わり方的なクリフハンガー演出が過剰すぎるような気がします。

とはいえ、ビジュアルイメージはやはり最高で、物語をしっかり満喫しているわけですので、甲乙つけがたい。
また、第三章に対する評価が本作への評価にも多分に影響するところではありますので、単体としては評価しにくいですね。

さてさて、スマウグからはなれ山を取り戻さんとやってきた旅の一行の先には、どんな苦難が待ち受けているのか。
物語は遂に最終章へ。待て次作!!
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