ゼロ

凶悪のゼロのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
3.8
実際に起きた凶悪な殺人事件を元に作られた社会派サスペンス・エンターテインメント映画。

ポスターになっている山田孝之さん、リリーフランキーさん、ピエール瀧さんが主要な人物となっています。この3人の演技力は見事なものですが、その中でも木村孝雄を演じたリリーフランキーさんが飛びぬけて怖かった。作中では先生と呼ばれ、金のためならいくらでも残酷なことができる人。子供のように無邪気に笑い、人を殺したことで富を得る。常軌を逸している姿は、正に怪演でした。

物語としては、スクープ雑誌「明潮24」に、東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤から手紙が届く。記者の藤井は上司から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、3件の殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知ると、取り憑かれたように取材に没頭して行く…というもの。

この映画には原作があり、実際に合った事件を元にして作られている。茨城県で「石岡市焼却事件」「北茨城市生き埋め事件」「日立市ウォッカ事件」の3つ事件が起こっている。猟奇的にも思えるが、この悲惨な事件が現実であることに恐怖を隠せない。

山田孝之さん演じる藤井修一が事件にのめり込んでいく姿も分からなくはない。記者という立場で、怖いものを見たい、好奇心旺盛な部分が出てしまう。人間の闇とは深いものである。現実の闇を垣間見たい人におすすめの作品です。
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