真っ黒こげ太郎

バイオハザード・アイランドの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.4
パチモン邦題に似合わぬ真面目っぷり。w

全体的に地味なのはロメロさんオマージュ故の堅苦しさか。




心停止状態から息を引き取った人間が、凶暴なゾンビとして蘇った。
そのままゾンビパンデミックは広がり、世界は荒廃した。

妻と息子を失った元救命救急士の男エルヴィスは、知り合いがマイアミの港町に居ると知りマイアミへ向かう。
そしてマイアミで、無線で応答した女性ツイーターと彼女と一緒にいた10歳の孤児コーディーと出会う。

エルヴィスの知り合いがボートの準備が出来たと知り、3人でボートのある場所へ向かう。
群がるゾンビをなぎ倒しながら、どうにかボートに乗り込んだ一行。
しかし、船内に隠れていたゾンビにコーディーが噛まれ、犠牲となってしまう。
残された2人は、ゾンビがおらず、ウィルスによる土壌の汚染もないという楽園の島へ向かう。
だが、その島も土壌の汚染で食物は腐り、ゾンビが島中に徘徊していた。

ゾンビに襲われる2人の前に生存者グループが現れ、2人を拉致し連れ去る。
「役に立たない人間は必要ない」と豪語する生存者グループのリーダーである元軍人のカートは、エルヴィスが医療従事者であることを知り仲間に引き入れようとする。
エルヴィスはツイーターも仲間の一人として加えることを条件にカート率いる生存者グループに加わるが…。




ゾンビが蔓延した世界、島で結成されているコミュニティを舞台に人々のサバイバルや人間ドラマを描いたゾンビ・パニック・ホラー。
ジャケやタイトルは「バイオハザード」のバッタ物であるが、実際はかなり真面目に作られたゾンビサバイバル映画。

本家を見たのでせっかくだからパチモン邦題な今作も見直し鑑賞。
実は過去にも「バイオハザード 2034」なる「VERSUS ヴァーサス」を百億倍にショボくして腐らせたような映画も見てるのだが、そっちまで見直し鑑賞したら精神が持たなそうなので止めとく。w


さて、今作は邦題こそ某スタイリッシュゾンビアクションホラーみたいな感じだが、実際の内容はかな~り真面目でシリアスなゾンビ・サバイバル物。
コミュニティでの対立や崩壊など、ロメロ大先生の「死霊のえじき」の影響が伺える。
因みに自分は、今作と「フォレスト・オブ・ザ・デッド」と「ラン・オブ・ザ・デッド」の3つで「ジャケやタイトルはアレだけど、真面目で正統派な三大B級ゾンビ映画」と呼んでたりする。w
(まぁ、探せば他にもありそうではあるんですが。w)


今作、役者は全員無名で超が付く程低予算で地味な映画ではあるが、人間ドラマが意外にもしっかりしてるからか、中々に面白く見れました。

ゾンビの群れる世界で生き残るために島にやってくるが、そこもゾンビが群れていた。
そこで成形されていたコミュニティに出会い、生き残るために仕方なく入ることになる。
そして後半でコミュニティの食料に関しての知られざる事実が判明する…。という内容。

登場人物は一部のモブ連中を除けば中々キャラが立ってました。
真っ当な人間であったものの、コミュニティに影響を受け、情にほだされ、段々価値観が狂ってしまう主人公。
コミュニティの真実を知り、狂った価値観に反発するヒロイン。
そして一見価値観が崩壊し狂っているが、根は家族やコミュニティを守る為に必死で仕方なく非人道的行為を行っているグループのリーダー等、登場人物は割としっかりしており、彼らの織りなすドラマも意外と見ごたえがあります。


またコミュニティの食料に関しての真実は中々考えさせられるものがありました。
詳細は一応伏せますが、ある意味ゾンビ達と同じような狂気の行為。
最初はその行為を否定していたが、コミュニティに染まり価値観が崩壊していく主人公に、反発するヒロイン。
ここら辺のドラマは、中々考えさせられる内容でしたね。
(ゾンビより人間が怖い系ドラマもロメロさんオマージュなのだろうか。)
ただ、コミュニティが崩壊するクライマックスへの入り方は結構強引かもしれませんが。
(でも、クライマックスで見せるリーダーの雄姿は良かった。)

ただ、低予算で人間ドラマを重視している為か、中盤からクライマックスまでゾンビの印象が薄めではあります。
まぁ、ドラマを描く必要性がある以上しょうがないですが。

ゾンビパニックは序盤とクライマックスに集中。
ゾンビ軍団との戦いは展開的にそこそこ盛り上がるし、それなりに血みどろです。
首が飛んだり肉が食いちぎられたり、臓物を引きずり出したり人体が切り裂かれたりと、残酷描写は安いなりに頑張ってました。
ただゾンビとの戦いはアクション的には普通レベルかな。
走ったり、銃で撃ったり、獲物で切ったり殴ったり、後はちょっとしたカースタントがあるくらい。



全体的に真面目な内容で派手さは無いですし、展開もややスローではありますが、正統派なゾンビ物としては中々しっかりした作品ではないでしょうか。
サバイバルドラマや脱出展開、血みどろシーン等、ゾンビ映画としてはちゃんとツボを押さえた内容で、制作陣のゾンビ映画に対する真面目な姿勢に好感が持てました。

まぁ、地味でありきたりな作品ではありますが、少なくともそこら辺の「バイオハザード○○○○(数字4桁)」みたいなミソッカスパチモン映画(爆)よりはまだ見どころはあると思います。w