『スノータウン』
原題 Snowtown
製作年 2011年。上映時間 120分。
オーストラリアで1992年から約7年間にわたって起きた『スノータウン男女12人猟奇殺人事件』を映画化した社会派ドラマ。

オーストラリア南部に位置するアデレード郊外の田舎町スノータウン。
シングルマザーの母親や障害を抱える弟と貧しい暮らしを送っていた16歳の少年ジェイミーは、隣人の男から性的虐待を受けてしまう。
そんな折、母親の新しい恋人ジョンが家にやって来る。
男らしくカリスマ性のあるジョンに惹きつけられていくジェイミーだったが、実はジョンは町の異常性愛者を根絶するべく恐ろしい殺人に手を染めていた。。。

今作品は、多くの映画作品とは一線を画すもんやと感じた。
冷ややかでいて、目を見開かされたと云っちゃっても過言ではないし、主人公はかなりイッちゃってる。
(云っちゃってると逝っちゃってるを掛けたわけで、、、)
何から書き始めたらいいのかわからないし、しかも、久しぶりの感想だし、その間に書かなかったとは云え、映画はそれなりに観てきて(連続ドラマが七割だけど)、また、今作品が是が非でも書きたいと思って書いた分けてはないけど、何か書き始めてる小生いて、、、
恋しいフィルマやしかな。
今作品を振り替えるに、多くの人がこの映画を観るのを見送ると思う。
でも、今作品は、個人的には間違いなく観るに値した。
今作品が実話だと知ったのは見た後でやけど、そのことが、小生がすでに感じていたことに、どれほど小さな違いをもたらしたか。
正直、えもいわれぬ(エモくはない)、いや、多少エモいかもしれないが、キモチ悪さと恐怖を感じた。
ホラー映画になれてしまい耐性が付いてしまった昨今、簡単に『ビビる』人間ではなくなったが、 いや、今でもビビってはいるがチビっては(失禁)いないし、他の多くの素晴らしい作品と同様、今作品も見終わった後に今作品は考えさせられるものがあった。
しか～し🦌し、これまで見たどの映画とも違って、今作品は明白な真実に目を見開かせるために小生の柔な顔に平手打ちを食らわせてはくれた。
当然、バックステップでかわすつもりやったけど(何をかわそうとしたのか不明やけど)
ホンでもって、今作品を観た多くの人がそうであったように、それを実感するのは厳しいことやと感じた。
それは、リアルに殺人者が存在すると云うことであり、それは当然のことなんやけど、今作品は、我々がいかに殺人や連続殺人に対して鈍感であるかを教えてくれる。
せやからこそ今作品を観て、何かを経験したような気分になった。
なんか3Dを『体験』しているようなエキサイティングな感覚に似てるかな。
シェーン・メドウス監督が、自身の体験をもとにサッチャー政権下のイギリス郊外に住む若者たちを描いた青春映画『THIS IS ENGLAND』を彷彿とさせるかな。

※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。

ただ、今作品はただの映画ではなかっただ。
(唯唯『ただ』の連発)
今作品は台本通りのシーンとは思えないほどリアルで、本気と書いてマジにすべてがリアルに感じられたかな。
殺人犯を演じた俳優は、これまで映画で見た中で最も恐ろしいキャラの一人やった。
何でも、今作品のジャスティン・カーゼル監督は、キャラの感情状態を整えるために、主人公のルーカス・ピットウェイに、撮影現場ではどの俳優ともあまり話さないように指示したそうな。
その指示は映画に生きとった。
今作品は、後で知ったし偉そうな事は書くと叱られるかもしれないが、先にも書いたよう、実話を元に悪名高い"bodies in the barrels"スノータウン殺人事件に参加した若きジェイミー・ヴラサキスの体験を描いていて、今作品の監督は、『正義の自警団』ちゅう幻想を徐々に引き離し、ジョン・ジャスティン・バンティング(加害者のリーダー)とその共犯者たちのサディスティックで邪悪な核心を明らかにする映画を何とも云いがたい手法で作り上げていた。
稀に見る暴力シーンは、目撃するのが難しいほど深い衝撃を与えてくれたし、オーストラリアの福祉地区郊外の映像は、その雰囲気を味わえそうなほど蛍光色のリアリズムでとらえられていた。
その意味じゃエモいかな。
時に断片的ではあったけど、今作品は、感覚を引き裂き、唖然とさせるような、巧みに作られた伝記映画でしただ。


　　　

見たで。
Xでちょくちょく見かける「ニトラム」の監督作品と言う事でニトラムをみる前に鑑賞。
貧困に喘ぎ閉鎖的な環境で家族と暮らす青年。自身を救ってくれた母の恋人に心酔する事で彼は殺人集団の片棒を担ぐ事に。歪んだ正義で私刑と言う殺人を続ける男に戦慄しつつ心のどこかで父性を求める彼の心情が正しい判断をとることすら曇らせる。淡々と描かれる人の孤独と狂気に鑑賞後も心が重い実話物。おぞましい。
おぞましいって書きはしたけど本当はそれだけで終わりにしてはダメな映画ではあると思う。「青春18×2 君へと続く道」をみる前にみたけどあれをみた後やと余計に自分と繋がってくれる人のかけがえの無さと言うのを痛感させられる。精神的ライフはかなり削られるので鑑賞前に整えていてください。

純度の高いサイコパス映画


ストーリー
オーストラリア南部のアデレード郊外。無職の母親や幼い弟たちと貧しい生活を送る16歳のジェイミー・ブラサキスは、ある日、隣人から性的虐待を受けてしまう。そんな中、母親の新しい彼氏ジョン・バンティングが家にやって来た。気さくで行動力のあるジョンに惹きつけられていくジェイミーだったが…。


主演　ルーカス・ピッタウェイ
監督　ジャスティン・カーゼル


オーストラリアの鬼才ジャスティンカーゼルが「オーストラリア史上最悪の殺人事件」"スノータウン・マーダーズ"を生々しく描く。

正直、度肝を抜かれる。
その残酷な殺人の手口、一家を丸め込む手腕、家族によそ者が入り込んでくる気持ち悪さ、どれをとっても素晴らしく生々しい。
さらにエンドロールに流れる結末をみて唖然。
「この内容が実際に起きた事件だと言うのか」と。
軽いショックを受けた。


きっといつ観ても気分は最悪。
さらに救いがない。
ただ、ラースフォントリアーと違ったのは監督自身に"殺人願望"があるとは思わなかった事。
ラースフォントリアーなら「自分ならどう殺すか？」または「こうやって殺したい」という明確な"意地"みたいなものが見えるのだが、今作はどちらかと言うと事件を生々しく描き「何がそうさせたのか？」また「なぜこうなったのか？」という答えより過程を大事にしている印象。
観客に寄り添わない映画は久しぶりで驚く。

小児性愛者、同性愛者、社会的弱者、口では国や民を思いベラベラ饒舌だが、「結局は人を殺したいだけのサイコパスたちの集まりだった。」と痛烈に批判しているジャスティン監督には一生ついていきたい。
個人的にジャスティンガーゼル監督とはかなり相性が良く、ほぼ全ての作品が好きである。(アサシンクリード以外)

時にはソシオパスを描き、時にはサイコパスを、はたまたオーストラリアの義賊を描いたりと"人間の業"に余念がないジャスティンガーゼルは最高である。