アイルランドに住むとある鰥夫の漁師が、ある日いつも通りに漁に出たら、人間の女性を釣り上げてしまった。死んでる!? いや、生きてる。自分の名前も思い出せないという、何だか少しワケアリ風なその女性を自分の家に泊め、親しく言葉を交わすようになった漁師だったが……。
アイルランドの素朴でほの昏い海辺の情景が、とても綺麗だった。挿入歌もたいへん美しい。そんな中、漁師の娘がその女性の正体だと信じてやまない人魚(正確にはセルキー)伝説の、その神秘と幻想が映像に溶け合い、曰く言い難い独特な雰囲気を醸し出す事に成功していた。
役者陣も其々の役柄に合っていて、特に娘のアニーを演じた子役さんは、聡明でおしゃまでチャーミングで、天使のようだった。
ただ、終盤のストーリーに捻りがなかったのが残念。