マサキシンペイ

イノセント・ガーデンのマサキシンペイのレビュー・感想・評価

イノセント・ガーデン(2013年製作の映画)
4.3
「穢れ」としての性欲を極端に嫌う、美しく聡明な良家の娘が、「穢れた者」に対しての憎悪から生じる攻撃性の内に性を開花させ、潔癖が故の悦びの中で「穢れ」ていく、という倒錯を描くメルヘンチックなサイコサスペンス。
子供から大人への過渡期を危なげに移ろう、「バルテュス的な女性美」が、恐ろしく綺麗に撮られている。

パク・チャヌク監督のハリウッド映画デビュー作だが、舞台が韓国からアメリカに変わっても、監督らしい異質な着眼点が光る映像表現は損なわれていない。

奇抜な美術で装飾されているわけではないありふれた世界観なのにも関わらず、鮮やかな色彩、編集点における独特なオーバーラップの多用、不自然なほど幾何学的にモチーフを配置する画面構成によって、シュールでエキセントリックな映像に仕上げられている。

また他作品の例に漏れず、神経質なまでにディテールにこだわった映像美で語られるのは、野蛮で卑俗な愛憎劇というギャップに、「パク・チャヌクの映画を観ている」という満足感が得られる秀作だ。
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