マサキシンペイ

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のマサキシンペイのレビュー・感想・評価

3.7
ウェス・アンダーソンの可愛らしくも斜に構えた映像美が効いたオシャレ映画。配役も豪華。
レア・セドゥの綺麗な大きいおっぱいが観られるだけで値打ちもんですね。いや〜お美しい!眼福〜!

架空の世界のフランスの、風変わりな新聞社の、クセがすごい編集者達の、ヘンテコな記事、という設定のオムニバス作品。

スタジオのセットであることを強調するアンリアルな美術の意匠とカメラワークが、奇妙な世界観に非常に合っている。

体裁はあくまでも新聞記事の再現映像であり、状況描写を早足なナレーションや脚注で逐一行なっていくという技法は効果的である。立板に水が如き語り口調というのは古今東西問わず魅入らされるものだ。
しかしそれゆえに、字幕だとストーリーを追うのがかなり忙しく感じ、せっかくの映像美の作品をなかなか味わいきれない。

なお、ロジックではなくユニークなセンスで作られている作品だからこそ、批判したい点も多い。
作中でモノクロとカラーの切り替えが反復するが、登場人物の心情の変化や、時制の整理としては機能しておらず、単に映像のメリハリをつけるためだけに使われている点が気になった。たしかに一定の効果を感じたが、色使いが綺麗なので端から全編カラーで良かったと思う。

さらには、実写とアニメーションへの切り替えもオシャレといえばオシャレだが、実写で危険なアクションシーンをアニメで代用しただけのように思う。セットとカメラワークが美的センスで静的なまでに完全に制御されているのだから、アクションもエミール・クストリッツァばりにわざとらしく実写で表現されていたとしても上手くハマったのではないか。アニメーションは蛇足に感じられて仕方がない。
マサキシンペイ

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