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ドリーマーズのMTMYのレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
4.8
「本当に革命を信じる者は街頭で身を投じる。君は家でワインを飲んで喋るだけ。自分の胸に聞けよ。君は形だけなんだ!」

…TSUTAYAの手を伸ばしにくいコーナーに置いてあるのが惜しいくらい面白いよこれ!確かに、1人で観ることをお勧めるけど、それが別にメインじゃない

物語はフランスに留学してきたアメリカ人マシューが、映画同好会の革命派であるテオ、そしてイザベルと出会うところから始まる。
なんとなく恋の三角関係を匂わせる始まり方だが、どうやら何かが怪しく、謎めいている。そこが魅力的であり、そこにマシューが介入してゆくことで物語は核心へと進んで行くような展開となる。

イザベルに惚れたマシューが欲しかったものは<本物の愛>。
しかし肝心の彼女とテオ2人には、マシューの思う<愛>はゲームにしか過ぎない。
では彼らにとっての愛とはなんなのか。
また、マシューは早々に彼らの<仲間>と認められているが、彼らの言う<仲間>とはなんなのか。

どうやらそこにはズレがある。

「聞けよ。真実を言ってやる。君は矛盾してるんだ。きみにとって"一緒"という言葉は同胞たちへじゃない。2人だ。」

そんな折、外ではテオの仲間たちを含めた暴動が勃発し始める。「外へ出ろ!外へ出ろ!」という声が街頭に響く。
まるでマシューがテオに言った言葉だ。

そしてここで繰り広げられるラスト。
マシュー、イザベル、テオのそれぞれの顔に現れる心情。
その時ふと思う。

本当に矛盾しているのはどっちなんだろう?本当のドリーマーズ(理想・空想主義者)は誰?

メッセージ性もあって、退廃的な部分も入れつつ、人間の心情描写もよく現れてる本作。意外と面白い!
また加えて魅力的なのが、登場人物が映画マニアということもあって、ちょいちょい挿入されるモノクロ映画、またはそのオマージュ。それらをよく知る人にとっても、本作は楽しめる一作品だと思う。ルイ・ガレルが出てる作品を観るのは2作目だけど、やっぱ好きだなぁ笑
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