あなぐらむ

たまもののあなぐらむのレビュー・感想・評価

たまもの(2004年製作の映画)
4.0
シナリオタイトル「お弁当」。公開タイトルは「熟女・発情 タマしゃぶり」。見事なタイトルだと思う。「たまもの」よりずっといい。現行上映版はまた違うタイトルになっている。改題されながら観続けられていく。それがピンク映画。

これは林由美香を愛でる映画。彼女が佇むだけで、映画的な空間がたち現れる。そして海。この映画はどこか神代辰巳「恋人たちは濡れた」に接続するかのような海の映画だ。あえて本番で挑んだ由美香の瞳が愛を、怯えを、狂気を語る。
ローカリズム漂うプロボウラーを目指すくたびれた中年女、という主題、非常に狭い世界でやったり棄てたりする物語は実にピンク映画らしい。竹洞哲也作品の時とお前矛盾してるじゃねぇか、と言わば言え。こちらには「映画」が立ち現われているのである。いまおかしんじの演出とかどういう事ではないのだ。

吉岡睦雄はこういう外道な役が良く似合う。ベテラン・栗原良も良い味。
伊藤猛、川瀬陽太などタレントが揃う。
華沢レモンちゃんはこれがデビュー作、現在はできちゃった婚で引退したそうだが、この子も得難い女優だった。

ピンク映画に愛された女優、というのは何人かいるが、林由美香こそ唯一無二のトップではないだろうか。「ストライーク一発!ストライーク!」
橋本愛ちゃんにはぜひ観て貰いたい作品。

池島ゆたか監督の「超いんらん やればやるほどいい気持ち(原題:next)」(2008)は由美香さんに手向けられた作品。映画ファンは必見の傑作です。