Jaya

野獣死すべしのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

野獣死すべし(1980年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

イカれた男伊達が相棒を拾って銀行強盗するお話。この内容で定番の邦画銃声SEはなかなかに辛かったです。何で刑事は女のこと知ってたんだ??

伊達こと松田優作の演技が凄まじい。台詞読みから図抜けてました。仕草や表情もキマってます。真田と刑事も良いけれど、その他はかなり酷かったです。

各シーンの構図が美しいですが、クドくてテンポが悪い。伊達の演技で観ていられましたが、それもクライマックスの電車のシーンまで。このシーンは素晴らしく、座席裏からの構図も最高。しかし力が入るほどにハードボイルド的なダサさがキツくなる。ウィンクルの話までは凄く良かったのに、何だXYZのくだりは。レシピ言いたいだけやん。

伊達の演技だけで十分なのに、わざわざ戦争を明示して陳腐化。アンゴラとかレバノンとか言ってるのにベトナム戦争の報道写真しか出ない。最後はハードボイルド恒例の時代に捨てられ取り残された男?地下のシークエンスもかなり雑。

インテリやブルジョワの余りに薄っぺらい描き方や、描写が浅すぎる女たち、そして地下からの流れなどは、時代がかった進歩的ハードボイルドの澱を煮詰めたような表現の数々で最悪でした。

松田優作の怪演含め、大傑作になる気配がいくつもありながら、完全にそれを逃しているように思えた映画でした。
Jaya

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