円柱野郎

ゼロ・グラビティの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

宇宙でロケをしてきたんじゃないかと思うほどの圧倒的な映像。
もちろんそんなわけはないのだけど、宇宙飛行士達の慣性表現や、デブリによって崩壊するシャトルやISSのシーンなどの質量を感じる挙動は、この話のリアルさを底支えしていると言える。
ここが嘘っぽいと話にならなかったろうけど、ホントに凄い。
キュアロン監督らしい長回しもかなり効果を発揮してるよなあ。
対象の回転に同期したり離れたり、クローズアップしていったと思ったらヘルメットの中にそのまま入ったり、狭い船内も関係ないような自由自在のカメラワークには感心。

ストーリーはいたってシンプル。
宇宙空間にから如何に帰還するかという話に集約されるわけで、目の前に広がる広大な空間とは裏腹に、孤独感というか閉塞感が強烈に伝わってくる。
次のデブリが来るまで…といった時限性も話の緊張感に貢献しているわけだけど、展開も上手いよね。
冒頭でなすすべなく破壊されるシャトルを提示し、対処しようがないことを理解させ、ISS脱出での緊張感につなげてる。
ソユーズの操作や構造と神舟の再突入シークエンスを対比させたり、推進剤替わりになる消火器噴射も、説明すぎない前振りとして上手い。
観ているだけの側のはずなのに、完全にその状況に飲まれてしまっていた。

話の3分の2を1人で話を支えるサンドラ・ブロックの演技は素晴らしいの一言だけど、ジョージ・クルーニー演じるベテラン飛行士コワルスキーも印象深く良いキャラクターだった。
あの状況にあって全く悲観的でない冷静さというのは…まさにプロフェッショナルということなんだろうけれど。
劇中での再登場は目を疑ったものの、展開を考えればストーン博士の幻覚でよかった。
あれで生きてたらご都合過ぎるw
でも感情的には助かってほしかったけどね。

ちなみに邦題は気に入りません。
これは無重力が云々のことなんじゃなくて、生還した博士が地上の重さを全身で噛みしめた時の感情を表現したものなのだから。
原題通り「グラビティ」で良かったのに。
円柱野郎

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