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パトリオット・デイの小のレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
3.9
2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側を含めた一部始終を描いたドラマ。映画オリジナルのキャラクターをメインに、事件にかかわった複数の人の視点で描かれる。リアリティがあり、緊張感が最後まで続く。よくできた映画だと思うけど…。

率直にいって、とても恐ろしいと思う。爆発に巻き込まれ、3人が死亡し183人が負傷。少なくとも10人が手足の切断を余儀なくされたという。ただマラソンを観戦していただけなのに…。

住宅街で激しい銃撃戦を繰り広げ、爆弾が爆発し、警察官からは地下室に避難するよう言われる。犯人2人のうち1人が死亡、1人が逃走。屋内退避が指示され、交通機関、公共施設、会社、商業施設が機能を停止する。現実がフィクションを上回っている気がする。

この映画は、テロに屈しないボストン市民の強さを描くことが主たる目的なのだろう。「暴力には暴力」で戦うのではなく「暴力には愛の力」で対抗していこう、ということも言いたいことのようだ。

しかし、自分の国でこういことが起こったら「テロに屈しない」はともかく、「愛の力」でと大きく構えていられるだろうか。イスラム系移民の排斥や武力行使も止む無しと思うのが人情なのではないか。

この映画を観て自分が本当に知りたいことが何なのか気づいた。それは、こうしたテロが起きる原因。アメリカに限らず、欧米各国でテロが頻繁に起きているのは何故か。何故日本で起きないのか。

なんとなく想像するところはあるけれど、はっきりとはつかめていない。もし、想像した通りだとすれば、そう遠くない将来、日本もテロの対象になるかもしれない。

ボストン市民の勇気に感動するよりも、我が身が心配になる。本当に知りたいことは良くわからないけれど、問題意識を持たせてくれたという点において、私にとって意義の大きい映画。

●物語(50%×4.0):2.00
・緊張感の続くストーリー。テロの発生から解決までの一部始終が良くわかる。愛の件はちょっとなあ。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・単に捜査当局対テロリストになっていない群像劇風のつくりが良い。

●映像、音、音楽(20%×4.0):0.8
・テロ現場、被害にあった人のリアリティある映像が凄い。

●お好み減点:-0.1
・知りたいこと、テロの原因が良くわからない。
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