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昼顔のryosukeのレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
3.7
本作はカラーであったが、ブニュエルの作品はモノクロの方が異様な雰囲気が出て良いのかもしれないと思った。映像的にはいまひとつインパクトが足りない感じもある。
カトリーヌ・ドヌーブの魅力を全面的に押し出した作品なのだが、個人的にはそこまで好きでもないのでプラス要素にはならなかった。やはり相当な気品のある女優であるとは思うのだが。ドヌーブが好きな人にはたまらないのだろう。ブニュエルの脚フェチっぷりも存分に発揮されていた。
貴婦人の性的欲求に関しては、正直おっさんの妄想っぽさも感じてしまうのだが。
「アンダルシアの犬」のラストを思わせる荒涼とした浜辺やでかいアジア人(ゲイシャクラブカード???)が妙に印象に残る。
幻想のシーンにはブニュエル節が出ている。泥をぶつけるシーンはジャンプカットが奇妙な効果を出す。次第に夢であることが明示されず、シームレスに現実と接続されるようになり、それがラストに活きてくる。
どの部分が夢、幻想であるかはっきりさせないことで、ラストの半身不随から回復した部分が幻想なのか、それとも主人が殺されかけるまでの展開自体が幻想なのか二通りの解釈が許されることになる。
ラストに夢のシーンの印である馬車がやってくることを考えると前者が素直だが、亭主が車椅子を見て不安を覚える(後の半身不随を予感)という現実的でない描写や夢が夫への罪悪感から自らを罰するようなものであり、また被虐趣味の表れであることを示した前半を考えると、夫の友人と奇妙な客に追い詰められていく後半の展開自体が夢であったとも考えられよう。
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