真っ黒こげ太郎

アウトレイジ・ワールドの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

アウトレイジ・ワールド(2011年製作の映画)
4.3
いやね、話題作りの為に有名作に便乗するのは別にいいんですよ。

とはいえ仮にもスラッシャーモノなら、それらしい邦題とタイトルとジャケ絵と説明文を(ry




1984年。
ミシシッピ州で美女を含む、5人の若者が失踪。
以後24年間、美女含む若者が次々行方不明になる事件が相次ぐ。
若者達の死体は今も発見されていない…。
(テキサスのチェーンソー大虐殺かな?)

時は流れ2008年の3月。
バーを出たレイチェルとアリッサは突如何者かに襲われ誘拐され、目が覚めると汚い納屋に拘束され監禁されていた!!!
そこに謎の男が現れ、ナイフで切りつけ血を皿に注いだりして2人をいたぶるのだった。
(マジに「テキサスチェーンソー大虐殺」じゃねぇか!!チェーンソーは出てこないけど。w)


一方、とある4人の誘拐犯が身代金目的に金持ちの家から娘を誘拐し逃走。(殆ど強奪に近いが。)
誘拐犯は娘の父親に金を持ってくるよう命じ、現金の受け渡しを行うが、誘拐ついでに妻を殺されマジギレした父親が乱入したり、実は誘拐犯に裏切者が居た事が明らかになったり、更に逃げ出したレイチェルとそいつを追っていたヤバい奴が乱入したりでとんでもないハチャメチャ大騒動に!!!




某「いけにえ」風なスラッシャー展開と、強盗団のバイオレンス犯罪ドラマが鉢合わせて大騒動になる、異色なスラッシャー映画。
監督は、同じく異色スラッシャーだった「ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」を手掛けた、パドレイグ・レイノルズさん。

このジャケを見た時点では「殺し屋同士が殺し合う、激安Z級な劇ヘボ&ショボショボなバトロワ系アクション物」かと思ってたんですが、「ザ・スタンド~」をレビューした際にフォロワーさんの方から「変わり種のスラッシャーホラー映画ですよ」と教えてもらい、興味がわいたのでお取り寄せレンタル。

ってか、このジャケと邦題でスラッシャー物なのかよ!!
正直、俺もフォロワーさんに教えてもらわなかったら危うくスルーする所でしたよ…危なかった…。
もっとスラッシャー映画らしい邦題とジャケを付けてくだしあ…;;



お話は序盤から中盤まではとある狂人男の監禁されるヒロインと身代金目当ての為に誘拐事件を起こす悪党軍団のすったもんだが並行して描かれる。
この事件2人は作中では特に接点はない…と思われていたんですが、中盤辺りでヒロイン周りの事情と悪党達が誘拐事件を起こした背景が繋がったりして「そう来るか!」と思わず関心。
(金持ちの家から誘拐した理由もちゃんとあったんですね。)
また上記の通り、金持ち側が反撃したり仲間同士の裏切りが起きたりと、以外にも犯罪モノとしてはしっかりした作り。
ヒロイン側もよくある「狂人一家モノ」ながら、ヒロインが脱走ついでに反撃したり、反撃に出た所でレザーフェイス的な奴が出てきたりと中々スリリングな展開で楽しませてくれます。
(ヒロイン役の絶叫っぷりや即座に反撃に出るアグレッシブさが素敵。)

その後、殺人鬼に追われるヒロイン側と裏切りに次ぐ裏切りで修羅場になっていた強盗団側が合流。
そこに追いついたレザーフェイス的ポジションの殺人鬼が「最終的に全員殺せばよいのだ!!!」な精神で獲物をコロコロしまくるというスラッシャーホラー展開になだれ込みます。
2つの展開はバラバラ時間軸で展開されますが、どちらも面白く展開されるし、後半に2つの展開が合わさってのスラッシャー展開への移行も上手く、終始飽きずに楽しめました。

因みに残酷表現は首チョンパや腕チョンパはありますが、描写はかなりアッサリしてるし切り株もろくに出てこないのでゴア指数やスプラッター成分はかなり弱め。
血糊もせいぜい首無し死体やラストで血糊が派手に噴き出る程度で、初期のグロが大人しい時の「13金」シリーズレベル。
(恐らくCG合成とかも使ってんじゃないかな。)
でもクライマックスでは殺人鬼がしっかりパワフルに暴れまわってくれるし、殺人鬼からの逃亡劇もそれなりにハラハラドキドキするので、スラッシャー物としての見応えは中々のモノでした。


ただ、個人的に殺人鬼側の設定が説明不足だったり、途中で巻末が語られる事なくフェードアウトした人物がいたのが気になる所。
あの謎の男に捕まった女子と、あのまま吹っ飛ばされてそのまま放置された謎の男はどうなったんだ!?

後、ラストバトルが思った以上にアッサリ終わっちゃうので「え?終わり!?」と若干物足りなくなったのも難点。
エンドクレジット後の不穏なショットは良かったし、余計な葉末ナシで逃げ延びた時点でスパッと終わるのは良かったけど…。
(余談だが、ラストで出てきたあのガソリンスタンド、「ザ・スタンド~」と同じじゃねーか!!!wwww)

後、これが一番問題なんですが、この手の作品にしては異色作とはいえ全然スラッシャーホラーに見えないジャケと邦題はどうなのかと。
同じくガバガバ邦題&ジャケ絵な「ザ・スタンド~」もアレだったが、こっちはもっと酷すぎるぞ!!!
便乗したい気持ちは分かるけどさ、せめてもうチョットは本編に似合うジャケ絵と邦題を付けてくれ!!!!



そんな感じで、説明不足な所があったり、ジャケから連想するような殺し合いアクションやスプラッターな見せ場に期待したりすると失敗するかもしれませんが、狂人一家系スラッシャーホラーの変わり種として楽しめました。
展開も普通に面白いし、尺も80分台でテンポも悪く無さげなので、スラッシャー映画が好きなら楽しめるんじゃないかと。

「悪魔のいけにえ」系作品が好きなら、ジャケや邦題に流されずに、是非とも見てくれ!!w