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キャプテン・フィリップスのYYamadaのレビュー・感想・評価

キャプテン・フィリップス(2013年製作の映画)
3.9
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈「マースク・アラバマ号」人質事件〉
 ~ソマリア海賊からの救出 / 2009年
・場所: アフリカ/ソマリア海域
・人物: リチャード・フィリップス船長

〈見処〉
①「現代の海賊」との攻防を描く
 サスペンスの佳作
・『キャプテン・フィリップス』は、2013年製作の実録サスペンス映画。
・本作の舞台は2009年4月、アフリカ、ソマリア海域。援助物資として5000トン以上の食糧を積み、ケニアに向かって航行していたマースク・アラバマ号は、ソマリア海賊に襲われ、瞬く間に占拠されてしまう。
・53歳のベテラン船長リチャード・フィリップスは、20人の乗組員を解放することと引き換えに自ら拘束され、たった1人でソマリア人の海賊と命がけの駆け引きを始める…。(eiga.comより抜粋)
・本作は、2009年4月7日に起こった、米国船籍のコンテナ船「マースク・アラバマ号」におけるソマリア海賊とフィリップス船長との攻防~米海軍特殊部隊による救出作戦まで、緊迫した4日間を描く。史実では、アメリカにとって、約200年ぶりの海賊事件に対する裁判となったことでも有名な事件である。
・なお「ソマリア沖の海賊」は、ヨーロッパからアジアに向けた海路において避けては通れない国際問題。エジプトのスエズ運河~紅海を経由し、地中海とインド洋を往来する年間約2万隻の商船にとって、大きな脅威となっており、本作の事件が起こった2009年3月には日本からも海上自衛隊の護衛艦が派遣されている。

②「ドキュメンタリー・タッチ」の
 大御所、ポール・グリーングラス
・本作の監督ポール・グリーングラスは、ジャーナリスト出身の異色のキャリア。
・アクション映画に進出した、マット・デイモン主演のボーン・シリーズ2・3作目『ボーンスプレマシー』(2004)や『ボーン・アルティメイタム』(2007)では、「手ブレ上等のハンディカム撮影」「超短コマ割り編集」にて、アクション映画のトレンドを変えた撮影手法を「発明」。
・上記による、グリーングラスのキャリアと手法に裏付けされた実話ドラマの相性の良さは『ブラディ・サンデー』(2002)、『ユナイテッド93』(2006)同様に、本作でも遺憾無く発揮されている。

③結び…本作の見処は?
○: 史実ドラマとして結果がわかっているドラマにありながら、134分の長尺ドラマに緊張感を持続させるグリーングラスの「ドキュメンタリー・タッチ」手法は効果的
○: トム・ハンクスしか出来ない、毅然としたフィリップス船長の行動力に尊敬の念を覚える。ハンクスのベスト演技では?
○: 米海軍特殊部隊の艦艇が本格的で大迫力。本物??
▲: ソマリア海賊のその場しのぎの行動にイライラを感じ、同情の余地を感じなかったが、本作の狙いはそれで良かったのか、鑑賞の仕方が浅かったのか判断に迷う。
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