「ブランカニエベス」
2013/12/7公開 スペイン・フランス作品 2016-59
TSUTAYA CINEMA Handbook 2016
2010年代ランキング48位

モノクロ作品の素晴らしさを体感しました！
BGMと表情、動きでこれだけの感情を伝えることができるのか、白黒の画がそこには映っていない筈の「色」まで連想させる━リンゴ、口紅の赤、雄鶏のトサカ、闘牛士のマント、流れる血、情熱的で毒々しい「赤」までも感じさせます。
ストーリーのベースは白雪姫ですが、モノクロならではのシュールにクールに演出しています。
カルメンシータの闘牛のシーンは感動しましたが、その後の本当の意味でのラストシーンは様々な解釈があるのだろうなと思います。とにかくとっても印象に残る作品です！

グリム童話「白雪姫」にスペインの国技である闘牛を織り交ぜ、モノクロ＆サイレントで描いた異色のダークファンタジー。スペインのアカデミー賞と称される2013年・第27回ゴヤ賞では、作品賞ほか10部門を制した。

• #TSUTAYACINEMA2010年代ベスト50
• #死ぬまでに観たい映画1001本

スペインを舞台にした白雪姫風ダークファンタジー。
「どうかお父さんに会えますように」
そう願う幼い少女の運命はとても悲惨だ。
継母エンカルナのいじめは子どもの頃読んだ白雪姫よりもえげつなくて、夫を蔑ろにしての継母のやりたい放題の破天荒ぶりと手下の鬼畜ぶりはもう胸糞悪いレベルでもあります。
「過去を懐かしむのは去った風を追うのに等しい。」
と、父親と娘が過去を埋めるかのように微笑ましい時間は、まだ序盤なのに涙がとまらない。
現代にあえてのモノクロ&サイレント作品としたことによって程よいクラシカル感を残し劇中音楽が良く映えていたし、テンポの良いカメラワークのおかげで退屈なシーンは１つもないし、森の中で彷徨ったカルメンシータが個性豊かな小人たちと暮らしブランカニエベスになっていくシーンなんかは本当にファンタジー感が満載で美しかった。
あまりに素敵だったので、ランプが沢山が掲げられたお庭ほ花火のシーンとだけはカラーで観てみたかったな。

ラストは割とシュールだけど、この作品の終わり方としては○。
ブランカニエベスの人生は皆が当たり前に考えるような幸せなものではないのもしれないけど、節目節目でちゃんと自分を愛してくれる人がいるからそれなりに幸せな人生なんではないだろうか。
そう、お城に住む王子様なんかいなくたって。

スペインと言えば闘牛🐂とフラメンコ💃と相場が決まっていますが、こちららの原題『Blancanieves』は『白雪姫』という意味です。

映画学の学術博士号を持ち世界の有名大学で教壇に立っていたパブロ・ベルヘル監督が、舞台をアンダルシア地方に置き換えて、グリム童話＋スペイン文化を融合させたオリジナル脚本。
しかもモノクロ＋サイレントムービーです。
映像、音楽、衣装と雰囲気がめちゃ好みで堪能しました✨


《あらすじ》
舞台は1920年代のスペイン・セビージャ。
人気実力を誇る闘牛士のビヤルタ（ダニエル・ヒメネス・カチョ）は豪華な衣装に身を包み、身重の妻（インマ・クエスタ）と母（アンヘラ・モリーナ）が見守る中、勇姿を見せたが、一瞬の隙で瀕死の重症を負い全身付随となってしまう。
目覚めた時は、妻が女の子を産み亡くなってしまったことを知る。フラメンコダンサーだった母の名を継ぎカルメンと名付けられた少女は祖母から育てられる。
父は言葉も発せられず身体が不自由なので、看護師エンカルナ（マリベル・ベルドゥ）が財産目当てで後妻となりカルメンを遠避けていたのだった。

その後、祖母が亡くなり致し方なく義母エンカルナが引き取るが、まだ子供なのに納屋に住まわせ重労働を課せられ、父には会わせてもらえない日々を過ごす。
エンカルナの目を盗み、車椅子の父と交流することができ、以心伝心で闘牛士の真似事をするのだった。
それを知ったエンカルナからまた引き離され、その後、父は階段から転落死する。

美しく成長したカルメンは何者かに首を絞められ川に浮いていたところ、ある男に助けらる。それは見世物小屋を巡業している小人だった。命拾いしたカルメンは記憶を失って名前すら思い出せず、その小人一座と一緒に旅に出る。
「小人闘牛士団」の見世物でカルメンは赤いマントを持ち女闘牛士として開花していく。
そのニュースを知ったエンカルナが毒入りリンゴ🍎を持ち闘牛場に現れるのだった...

ラストは白雪姫の童話とはイメージが異なりますが、一種の寓話として捉えました。


スペイン女優の競演
マカレナ・ガルシアの美貌✨
マリベル・ベルドゥの妖艶さ💫
アンヘラ・モリーナのフラメンコシーン👏

古典フラメンコの音色🎵衣装💃
マタドール（闘牛士）の特別な衣装は豪華な金糸刺繍があしらわれています。
オープニングはTraje de luces（光のスーツ）と言われるマタドールが身を包んでいく様子を映し出していて、力士がまわしを締める時のように、細い帯も自分がクルクル回って締めていた。


好みは分かれそうですが、好きな作品はついつい長くなります。
自分のメモのため、あしからず。