140字プロレス鶴見辰吾ジラ

On Your Markの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

On Your Mark(1995年製作の映画)
4.3
【願望】

CHAGE&ASKAの「On Your Mark」のPVアニメとして制作された宮崎駿の7分弱の短編アニメーション映画。

明らかにJ-POP性やCHAGE&ASKAのラブソングテイストを真っ向から無視したようなエゲつない世界観の短編。未来社会においてカルト宗教団体に囚われた羽根の生えた少女を救出するためにCHAGE&ASKAを模したキャラクターが奮闘する話なのだが…

あからさまに出てくる放射能☢️マークにカルト宗教団体のビルに真っ向から突っ込んで突入する警官隊。マシンガンと爆薬による徹底的な“潰し“とバイオレンス描写。

その中で見つけた羽根の生えた少女。彼女は一体?そして厳重にパッキングされて連れていかれる少女。ここでも纏わり付く放射能☢️のイメージ。

とことんぶっ壊れた世界で願望をもって生きるCHAGE&ASKA。歌詞から直接的に受けるイメージからは掛け離れたファンタジックな逃避行は、彼らの願望をもってリフレインする歌詞と映像と迎えるクライマックス。ラストシーンのカットは理想的な終焉でかつ切ない。

宮崎駿のアニメーターとして、作家としてのスキルと熱情が異常なほど濃縮されており、映像と歌詞、そしてリフレインのシンクロが寸分違わないため、映像的な熱量が凄まじい。そして宮崎駿の仕込む“薔薇の蕾“が我々の心を抉ってやまない。