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チョコリエッタのminorufukuのレビュー・感想・評価

チョコリエッタ(2014年製作の映画)
4.0
5歳の時母親が事故死したヒロインは、自分も死んだものと感じて生きてきた。やがて高校二年に進級した彼女は所属する映画研究部の先輩と再会し、夏休みに彼と映画を撮りながら旅をすることになるという話。
チョコリエッタとは飼い犬ジュリエッタにちなんで母から呼ばれていたヒロインのあだ名。

事前情報無しに観たら、30分くらい経過しても明確な目的は掲示されず、恋愛話にもならず、着地点が全く見えない、良い意味で予測不能な作品で面白かった。
まず、この手の青春映画には珍しく2時間40分もあることにビックリ。
作中ベタな青春ものの展開になりそうな提案や誘いが出てきても、ヒロインがそれをことごとくブチ切れて拒絶するので「何!? 何!?」と驚かされる。また、セリフも支離滅裂で感情の起伏も激しいので非常に面倒くさい女子高生として描かれている。わがままで可愛いのだが、当事者である先輩などはたまったものではないだろう。
途中からヒロインと先輩の2人旅になるが普通のロードムービーと違い旅先での他者との交流はほとんどない。
終盤の展開も各人のその後が曖昧にしか示されず、観てる側に考えさせる余地を残したラストとなっているように思えた。

主演は森川葵。彼女が役のために坊主にしたとテレビなどで紹介されるのは本作での演技を指す。坊主もさることながら、情緒不安定で泣いたりわめいたりするヒロインを熱演していた。先輩役の菅田将暉もはまり役で、2人の支離滅裂なやりとりが段々とクセになってくる。

フェデリコ フェリーニ監督の作品「道」が物語に深く関わっており、作中でもほんの一部が上映される。今度観てみようと思った。

エンディングテーマは忌野清志郎のJUMPを森川葵がカバーしている。歌は上手くないのだが、映画の雰囲気にはマッチしていた。
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