あまのかぐや

300 スリーハンドレッド 帝国の進撃のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

大好きなレビュアーさんが「300」観てレビューあげていらしたから、たまらなくみたくなり、深夜の「300祭り」開催。
続けて、レビュー棚上げになってた続編まで見ちゃいました。
次には「ほぼ300」も控えてるヨ(^ ^)b

「300」とほぼ同じ時、別の場所で起こっているペルシア対ギリシャ連合軍(スパルタ除く)のお話。

冒頭、ギリシャ海軍の司令官、アテナイのテミストクレスが、何度もスパルタのゴルゴ王妃(未亡人)を口説きにいくんですよ、連合軍に参加してくれと。
ときどき回想シーンでレオニダスが登場したり、王妃の後ろには前作ラストでスパルタの語り部として帰還したディリオスも背景のように立っています。「一緒にペルシャを叩き潰しましょう、力を貸してください」と熱心に口説くも、ゴルゴ王妃は、300の兵を失った後、戦うよりスパルタの存続を願うスタンスを取り、なかなか首を縦に振らない。

そもそもペルシャ軍との因縁は、さかのぼること10年前、クセルクセスの父、ダレイオス王を死に追いやったマラトンの戦いの英雄テミストクレスとの戦いまでさかのぼる(とゴルゴ王妃が言ってました)

その回想シーン。ペルシャのダレイオス父王が死んだときにそばにいた息子のクセルクセスが「300」での登場したときの、ホストクラブの内装のようなギンギンのいで立ちとはあまりに違う普通の青年で驚きますが、クセルクセスをあの黄金の神王に仕立て上げたのは、父王の右腕だった海軍総督アルテミシアでした。

アルテミシアの入れ知恵で、二代目へたれ王子から人外の神王に、文字通り変身するクセルクセス。「クセルクセス・ライジング」のシーンはすごいですね。何度も観たくなる。瞳は赤く輝き、身体を黄金を纏い、体毛はすべてなくなったそうですよ、このとき。

アルテミシアはギリシャ生まれの女ながら、ギリシャ民兵に両親を殺され奴隷船に乗せられ、港に捨てられていたところをペルシア人に拾われ殺戮兵器に育て上げられたという生い立ちを持つ。(このときアルテミシアを拾ったペルシャ人が「300」でレオニダス王に穴にけり落とされた使者らしいです)

前回の地上戦メイン、肉体と肉体、刃と刃のぶつかり合りから、次から次に敵が繰り出してくるスペクタクルとはうって変わり、今回は壮大な海を舞台に、波しぶき、血しぶきが飛び交う海戦をこれでもかという迫力でみせます。こちらに向かってくる感じがかなり3Dを意識した映像(わたしは普通の2Dで見ましたが)。これ4Dだったら確実に船酔いです。

しかしながら、前作のような血沸き肉躍る感が驚くほど感じられなかったのはどうしてなんでしょうね。前作で効果的に見せていたスローモーションを今回は多用しすぎているのか、どうにも戦闘シーンの息詰まる感じがなかった気がします。美しい絵として見せたいのはわかりますけどね。スパルタ兵の戦いぶりでは、そのあたりの緩急が絶妙だったんではないでしょうか。

そして中盤。中立地域でのアルテミシアとテミストクレス、両陣営の指揮官の邂逅。
ここ、いらんエロシーンと酷評されていますが、これわたしは必要エロだったと思います。
エロがなければ、エヴァ・グリーンを使う意味がなくなる!乳をださずになんのエヴァ・グリーンぞ!
そして、このシーンはアルテミシアとテミストクレスの「恋愛要素」ではありませんもん。司令官室での獣のような性交シーン、乳は出すものの決して官能シーンには見えませんよね、これ。牙や爪をむき出しにしあい、縄張りやイニシアチブを奪いあう息詰まる戦いに見えたのですよ。アルテミシアの色仕掛けからはじまったかもしれないけど、仕掛けられるテミストクレスにとっては精神を打ち負かされるかの攻防。

エッチシーンいらないよね、っていう人には「エッチ」にみえたのでしょうね。それ、みてるほうがエッチすぎるよ。

アルテミシアが男だったとしてもあの時は掘りあったかもしれん。または殴り合うかのどちらか。最後までいたせなかったからたぶん肉体的にはテミストクレスの負け。精神的には女体の有利をさらけ出しても屈服させられなかったアルテミシアの負け。
自陣に戻った時、味方に「なにか収穫はあったか?」と聞かれたときのテミストクレスのしょっぱい顔。そして「次は全力で叩きにくるぞ、用心しろ」…そうでしょうそうでしょう。

それにしてもエヴァ・グリーン様、かっこよかったなー。序盤で捕虜の首をさっくり切って、その生首にチューかましてからこちらに向かって投げ捨てる一連の所作。まさしく現代の(現代じゃないけど)サロメだ。たぶん斬るだろうな、たぶんチューするだろうな、で、たぶん投げ捨てるだろうな、って、あの危ない目つきみたらおおかた予想がついちゃいますが、その予想通りになさる、絵にかいたような冷酷な女傑っぷりが素晴らしい。

というわけでエヴァ・グリーンがあまりに頑張りすぎたため、ジャケットにもでかでかと描かれている大将テミストクレス以下ギリシャ軍の面々の存在感が薄い。レオニダス王(ジェラルド・バトラー)の濃さとオーラはアレなんだったんでしょ。あのカリスマ性があればまだエヴァ様にも見劣りしなかったかもしれないけど。筋肉やなんかの見せ方は前作とそう変わってるとは思えないですが、なんかこう、表情とか顔だち、線が柔らかいんですよね〜。ギリシャ軍のひとたち。若者の中にジャック・オコンネルがいます。あまり古代の兵といった見た目になりきってない。前作の若手の中にいたファスベンダーは「え?これファスベンダー?どーなってんのこの肉体」ってぐらい見事に化けてましたけど。

どうにも前作と比べちゃって、ややもやもやするも、最後まで観るとお楽しみシーンは残っています。ラストにゴルゴ王妃が「風」を感じて、スパルタ兵を率いて立ち上がるシーン、ドドーンと心の中で花火があがります。スパルタの盾を思わす帆を張るとき、私の中のスパルタ兵が鬨の声をあげました

「ディス、イズスパルタァァ!!!」「うおぉぉぉっっっ!!!」(ダンダカダカダカダンダカ…)

はぁ。
なんか落ちたり上がったり忙しいわ。
みてるとき、ときどき思ったのですが、船と船の間を飛び交う矢の殺傷能力って、そんなにすごいのかなって・・・。あー、なんかこの疑問、以前も感じたことあるなと思ったら平家物語の「壇ノ浦の戦い」ですね。鎧にかっちり包まれている日本の軍記物よりも、マントの下がけっこう無防備なのよね。
あまのかぐや

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