R

17歳のRのレビュー・感想・評価

17歳(2013年製作の映画)
4.7
わーお、何と魅惑的な作品だろう! 何となしに、オゾンの中でも大したことない部類の作品だろうと思ってたんやけど、最高傑作のひとつではなかろうか! 見てる間ずっと喜びで心が満たされた。主人公の美女イザベルは17歳になったばかりの高校生。ぜんぜん感情を表に出さない彼女が、夏休みのバカンスの海辺で裸になり日光浴してるのを、思春期に入りたての弟が双眼鏡で覗いてるシーンから始まる。弟はイザベルが枕でオナニーしてるのもたまたま目撃。序盤から性的な香りがぷんぷん。その後、イザベルは海辺で出会ったドイツの美青年と初めてのセックスを経験する。その時も彼女は無表情、てかちょっと不快そう、多くの人が経験する初体験の失望でしょうか。てか、ジャーマンボーイ、突きの勢いが最初からそこそこ激しくね? バカンス終わりの帰宅の車で、その青年を通り過ぎるとき、見向きもしないイザベル。秋にはすでに、年配の男に体を売り、稼ぎまくりの娼婦と化している。若く見られるけど20歳よ、と偽って。オゾン監督なのでセックスシーンがすごく生々しい。けど、ビックリするのが、ボカシのデカさ笑 ふつう、接合部だけくらいやん? どんだけ隠すねん! ジョークか! なぜこんな美しい芸術品にシミをつけることをするのか、理解に苦しむ。映倫クソ。もうひとつ、ある人々が理解に苦しむだろうものが、なぜイザベルが体を売っているのか、ということ。ちょっと変わった家庭環境のため? 父の愛への渇望? 激しい性欲? 自己破滅の衝動? 愛されたいから? ナルシシズム? 金のため? 平穏を取り繕う大人たちへの復讐? おっさん達をバカにするため? おっさんたちを愛したいから? いろいろ考えさせるキッカケになるヒントは随所に散りばめられているのだが、最後の最後まではっきりくっきりした理由はわからない。けどボクは自分が10代後半から20歳前半の頃の、落ち着きなく、全てが目まぐるしく、明確な理由なく衝動的な行動をしてたときのことを思い出した。あー。この感じ、めちゃくちゃ懐かしいな、ステキだな、と思った。ただの若気の至り、とも言えようが、それは若者の複雑な行動心理を大人が無理矢理単純化しようとして出来た言葉なんじゃないだろうか。若く、みずみずしく、感性がガバガバ状態だからこそ、こんなことをしてしまうんやろーなと今なら感じられる。自分の意識の奥の奥の深みから自分を突き動かす、自分であり自分でないような、けどやっぱ自分そのものでしかないもの。そういうものなんじゃないかな。そら、親からしたらたまらんやろけどな笑 ちゃんと説明せんか!ってなるよねー。けど、弟は何となく姉を受け入れてる、彼ももうすぐそういう不思議な感覚のお年頃に突入するのだ。せっせとオナニーしながら。最後は、とても悲しく、痛々しく、切なく、同時に、優しく、柔らかく、ほの温かい、とても不思議な感慨を残して終わります。これこそが、まさにタイトル通り、若く、美しい、そのビターでスウィートな後味なんだと思った。ボクにもあんな感じで目覚めた不思議な朝がいくつもあったことを思い出した。全編浮き沈みのない淡々とした演出のなかで、イザベル演じるマリーヌヴィクトの清涼感のある美貌が気持ちよく、ずっと釘づけだった。特に髪おろしてメイクしてるときがすごい。音楽もよかったし。それにしてもフランスの家族の形って日本と全然違って面白いよなー。母の再婚相手は、同じ屋根の下で暮らしながら、ちゃんと皆さん公認で他人のまま。日本では無理くり新しいお父さんにならなあかんのに。自然で良いね。いやー、何から何までホントにホントに素敵な映画だった。繰り返し見たいです。
R

R