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フォックスキャッチャーのBeSiのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
4.7
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」を観る前に今作初鑑賞。レスリングチーム"フォックスキャッチャー"経営者ジョン・E・デュポンの五輪金メダリスト殺害事件の実話を描く。映画ではあまり詳細に描かれていなかったが、この事件の首謀者であるジョンは元々は運動出来るほどの身体ではなく、そのうえ強迫性障害も患っていたらしい。この事から、彼の突飛な言動の理由がよく分かる。名声や孤独、埋めきれない欠乏感に悩む者の精神を徐々に蝕んでいくジョン演じるスティーヴ・カレルの演技には鳥肌が立った。終始暗い雰囲気のなかで段々と溢れ出て来る狂気は、観ていてとてつもなく恐ろしいと感じた。こんな事件が実際に起きていたと想像するとなお恐ろしく思ってしまう。アカデミー賞5部門、ゴールデングローブ賞3部門にもノミネートされたこの作品は、狂気や陰鬱を味わいたい方には一見の価値ありの秀作。素晴らしい。
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