タケオ

イコライザーのタケオのレビュー・感想・評価

イコライザー(2014年製作の映画)
3.8
 アメリカのTVドラマ『ザ・シークレット・ハンター(原題: Equalizer)』(84〜89年)のリブート作品。元特殊工作員の主人公ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)が、知人の娼婦を傷つけたロシアン・マフィアを徹底的に叩きのめしていく様をスタイリッシュに描く。
 マッコールが不眠症に苛まれる姿は『タクシードライバー』(76年)のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)を彷彿とさせるが、世間に居場所を見つけることができず狂気に陥っていったトラヴィスとは違い、マッコールはホームセンターの従業員として難なく世間に馴染んでいる——ように見える。しかし結局のところ、その真の正体はトラヴィスと同様、世に蔓延る不正や悪徳に対して苛立ちを募らせる孤独で危険な男である。本作は、そんなマッコールが如何にして自らの役割を自覚していくかを描いた、ある種の「ヒーロー映画」なのだ。そのやり方は極めて暴力的なものかもしれないが、「人並外れた才能を持つ人物が誰かのためにそのスキルを使おうとする」という本作のプロットは、それこそ正に『スーパーマン』『バットマン』『スパイダーマン』『アイアンマン』に代表されるオーソドックスな「ヒーロー誕生譚」そのものである。
 『イコライザー』には視覚的な楽しさも詰まっている。クライマックスで暗闇に紛れて敵に忍び寄り、ホームセンターの日用品を利用して相手を血祭りに上げていくマッコールの姿は、まるで「スラッシャー映画」の殺人鬼だ。ランボー(シルヴェスター・スタローン)がそうであったように、それがマッコールの本質でもある。もちろん、ロシアン・マフィアごときが勝てるわけがない。彼らが目覚めさせてしまったのは、スキルを持て余した危険度MAXの殺人マシーンなのだから。
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