B5版

プリズナーズのB5版のネタバレレビュー・内容・結末

プリズナーズ(2013年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

予告に惹かれて鑑賞。
ドゥ二監督作品とは知らず。

奪われた娘を取り返すため、時間との戦いの中で徐々に焦燥し暴走していく主人公。
娘の命と己の善性との間で苦悩する父親の物語として誘拐劇の顛末を追ってくだけでも十分完成されていて面白いが、
がっつり画面に入り込む異教の刺青や十字架が示唆するところは、この話のメインフィールドはやはり宗教。

犯行理由など、この辺は非キリスト教には繊細な機微が理解できない。
ただ、神の教えを内面化しようと試みる潔癖さがあればいずれぶち当たる、絶対に返答のない問いなんだろうな、これは。
『シークレット・サンシャイン』や『沈黙』などでも挙げられた沈黙する神様への問い。
疑惑の人アレックスを閉じ込めた部屋を告解部屋に見立てたり、ロキがクライマックスで片目となったり、西洋絵画的シンボリックな画面作りを探していくと二度目の鑑賞もより楽しめる。

多分基督教を単なる一つの教養としての範囲に興味を留める人間より敬虔な信者の方が楽しめるのかな?
と思いつつ、異教の神さまであるロキを名前に与えられた刑事だけが真実にたどり着き、主人公ら盲信者に自らの行いを見つめ直せと説き、一人論理的に事件を解決していくのはなんとも含みがあり、言語化できない感情が尾を引く…

この映画でポール・ダノのお名前を知れてよかった。
『リトルミスサンシャイン』の兄で、『ゼアウィルビーブラッド』の双子だったのね。名演技にも超納得!
B5版

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