ペコリンゴ

シンプル・シモンのペコリンゴのレビュー・感想・評価

シンプル・シモン(2010年製作の映画)
4.6
記録。
正反対の自然体。

これ大好き過ぎてヤバかった!
第一印象から「あ、これ絶対好きなやつ」てなるパターン。一目惚れってやつですね。

主人公シモンはアスペルガー症候群を抱えるSF好きな青年。規則正しいリズムを重んじる彼は、気に食わない事があるとドラム缶(?)で出来たロケットに閉じこもってしまう。唯一の理解者である兄サムとその彼女フリーダと3人暮らしを始めるも、シモンの特異な振る舞いに限界を感じたフリーダは去ってしまう。シモンは規律を取り戻すためサムの新しい恋人探しを始めるが…。

いやー、お洒落でポップにも程がある。さすが北欧スウェーデン、IKEA発祥の国だ。カラフルな美術は勿論のこと、演出だったりシーンの一つ一つがむっちゃ可愛いんですよ。

アスペのことは詳しく知らないんだけど、確かに元カノの立場からすればシンドいはず。シモン曰く自分より937倍イイ男だという兄サムのそれまでの苦労も垣間見えるけど、常に弟を気遣う彼もまたシンドい思いを幾つもしてきたと思うんですよね。

そんな重めなテーマを、シモンのユニークな目線でユーモラスに描いたのが本作の独創的なところ。最初は些か自分本位に思えるけど、大好きな兄のために一歩踏み出して「完璧な恋人」を探す。コミュ障なはずなのにですよ。これはシモンが最も恐れる変化に立ち向かうということなんですよね。

悪い人は一切出てこないし、現実的に考えるとそりゃ変なところは沢山ありますよ。でもこういう優しい映画は意地悪な見方をしたら損なんですよね。

「100%幸せになれる」は伊達じゃない。おかしくて、可愛くて、心が温まる傑作でした。