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オールド・ボーイのRのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2013年製作の映画)
4.4
カルト的人気を誇るらしき同タイトル韓国映画のリメイク。圧倒的に韓国版支持派が多い中、僕個人としては、こっちのほうが全然好きでした。韓国版も面白かったっちゃ面白かったけど、いろんなエフェクトがこれ見よがしすぎて、やかましく、ノレなかった記憶しかない。本作はスパイク リー監督で、もともとスパイクリーのシャープな演出が好きというのもあるかもやけど、こっちの方がぜんぜんシンプルで、だれにとっても楽しみやすいのではないかと思った。主人公は、まったくダメダメでどうしようもないバツイチサラリーマンのジョー。娘の養育費は払えず、営業の商談もうまくいかず、酒に溺れてグダグダになってるところで出会った、傘を差す謎のアジア女。次の瞬間、目を覚ますと、ジョーは素っ裸でホテルにいるではないか。やってしまったな、と思ってると、部屋に女の姿はない。それどころか、部屋から外部に通じる窓もない、電話もない。かたくロックされたドアを叩いて人を呼んでも返事もない。あるのは時々ドアの下の小窓から挿入されてくる食事とウォッカ。これは……まさかの……監禁状態……!というわけで、なんとそのまま20年の月日が経ってしまいます……その20年の間に何が起こったかというと、まず、催眠ガスで眠らされてる間に精子を採取され、元妻がレイプ殺人され、犯人に仕立て上げられた挙句、ニュースでセンセーションになり、娘は新しい家族に引き取られて、立派なチェリストに育てられましたとさ。その一部始終を、監禁部屋のスクリーンで、ニュースやドキュメンタリー番組を通して見せられる。あまりの不条理に憤り、何とか監禁状態から抜け出そうと、酒を断ち、体をムキムキに鍛え上げ、巧みな力技で見事脱出! 一体何故、何者によって彼は監禁されたのか、そして娘はどこにいるのか、を追求していくミステリー。のったりぬったり進んでいく韓国版とは対照的に、テキパキとスピーディーに進んでいくミステリーが心地よく、途中でてくる1対数十人の結構長い乱闘アクションも、テンポの良いコレオグラフィーとちょうど良い程度のフェイク・リアルバランス、モデラートに痛々しいセンセーションもパーフェクト💯 普段、長いアクションシーンって途中で飽きてまうからそんな好きじゃないんやけど、本作はノープロブレムでした👍 ちょっとキルビルvol.1の終盤のアクションを彷彿させた。ジョーを演じるのは、どの作品でも見事なるダメンズぷりを体現するジョシュブローリン。本作では、お腹でっぷりのアル中ダメ人間から、父性の目覚めた筋肉モリモリスーパーゴリラまでを、この上なき似つかわしさで演じている。本作のヒロインは、ジョーの娘さんかと思いきや、話の途中で突然ランダムに出会う、ホームレス救済支援を行なっている深い慈善の心を持った女性マリー。エリザベス オルセンという女優さんが、むさ苦しい男たちの復讐劇である本作の爽やかな清涼剤となっている。そして、謎のボスを演じるサミュエルLジャクソン、完全にネタキャラとして出てきてて面白かった。衣装とかいろいろバカバカしくて面白い😆 首がイタタタタタ😰 さらにその背後に存在する謎のマスターマインドと、彼によって明らかにされる衝撃的な過去と現在。最後のヒネリは、韓国版の内容まったく覚えてなかったため、完全に新しいものとして味わうことができたの良かったです👍 これは……ジョーからしたら最悪の衝撃でしかないよな……まさかこんな結末になろうとは……見始める前は、韓国版なんか過激な話だった覚えがあるなぁくらいの記憶しかなく、見終わった今でも、こんな内容やったっけ⁇ ってなってる。韓国版もう一回見てみんとあきまへんわ。で、スパイクリー監督の作品なので、社会的テーマが前面に押し出されているかと思いきや、本作ではかなりうっすら、ジョーが監禁されている間に経った20年間の背景として、また、全体のテーマとして、かなりうっすら、感じさせるか感じさせないかくらいの微妙な塩梅で描き込まれている。僕的にはこれくらいの薄味で、サクサクスリリングに進んでいく作品もぜんぜんいいな、と思いました。いかにもスパイクリーらしいごりごりの硬派社会派が好きな人にはちょっとポップすぎるかも⁇ あ、あと過去の描き方もひょっとすると賛否生まれるかも。はじめちょっと分かりにくいから。でも全体的にはとても良かったと思います。また見たい!かも!
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