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007 スペクターのabeeのネタバレレビュー・内容・結末

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

【6代目ジェームズ・ボンドを観よう‼︎④〜軌道修正】

ダニエル・ボンドの4作目「スペクター」。007ファン垂涎のタイトルだそうで、期待もそこそこに鑑賞しましたよ。

びっくりしたのが、まだ「カジノ・ロワイヤル」の流れ引きずってたんですね笑

ファンを喜ばせようという思いはとても感じたのですよ。
というのも、「スペクター」のアジトへ向かう道中の列車のシーンは明らかに「カジノ・ロワイヤル」のオマージュ。調べたところ、ダニエル・ボンドだけでなく、過去作のオマージュがかなり登場していたらしいです。

オマージュと言えば聞こえが良いですが、特にこの列車のシーンはボンドの行動やストーリーの流れを正当化させようとしてるように見えるのですね。
6代目ボンドの作品の中で初代ボンド・ガールのヴェスパーはその存在が大きすぎるので、このシーンを入れることでマドレーヌとの関係を正当化する流れを作ってるように思いました。
それでもヴェスパーの存在はやっぱり大きかったですよね。

ツッコミどころも多かったですよねぇ…

冒頭のメキシコのシーンからツッコミポイントは登場します。
死者の日のお祭りで賑やかなメキシコである男の暗殺を実行しようとしているわけですが…

近いよ‼︎
そんな至近距離丸見えだよ‼︎
どうしちゃったんですか、ミスター・ボンド。
アルコール依存症を克服したばかりなのは分かるけどさ、あまりにも近いよ‼︎

結果、微妙に暗殺をしくじってしまったミスター・ボンド。成功したものの、街を破壊したうえ市民を騒然とさせてしまい、またもMに怒られるハメに…

そこから浮き上がった「スペクター」と呼ばれる組織の存在。
そのボス、ブロフェルドとボンドの因縁。実は前作は「スペクター」に向けた伏線だったわけですね。
その割に、クリストフ・ヴァルツの登場シーンがちょっと少ないように感じましたし、シリーズ通して因縁の重要キャラクターの割にその不気味さなどが私には少なくとも伝わってきませんでした。

ストーリー展開の雑さも気になります。
マドレーヌがボンドの元を離れることで次のシーンへ展開されるのですが、そこの繋ぎが特に雑に見えます。
やはりこのストーリー展開ではマドレーヌにヴェスパーを超えるほどのボンド・ガールとしての魅力を感じられません。

でも悪いところばかりではありません。
小ボケがふんだんに散りばめてあって単純にエンタメとして楽しめるシーンが多いのです。
特にアストンマーチンDB10でのカーチェイスのシーンは搭載ガジェットを片っ端から試し、1人ツッコミを入れるボンドに萌える。
そして一般市民とのテイル・トゥ・ノーズ。ていうかもうぶつかってる‼︎笑

ということで、前回の「スカイフォール」が「カジノ・ロワイヤル」の流れから離れたストーリーであったところから、今作その流れへの軌道修正を行ったわけですが、ぶっちゃけもう終わった話だと思ってたので色々わけが分かりませんでした。
ミスター・ホワイトって誰だっけ⁇笑
それに加え前作「Q」が登場したことで、ボンドがハイテク・ガジェットを使用してスパイ活動を展開し歴代007に雰囲気を寄せるという原点回帰の部分も見えました。

本来の007への軌道修正、これはダニエル・ボンドの最終章を示唆する物語だったのではないでしょうか?

しかしながら、次作もダニエル・クレイグの続投。
最新モデルのシルバーのアストンマーチンを川に沈め、敢えてラストシーンで古いアストンマーチンに乗り込み走り去る姿は、「まだダニエル・ボンドは終わらない」というメッセージだったのかも知れませんね。
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