Angie

(秘)色情めす市場のAngieのレビュー・感想・評価

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)
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ゴム人形のように

生々しく、これ以上にないくらい、淀んだ空気と暑い空気が伝わってくる。
トメの額に浮かび上がる汗の、これまでにないエロチックな描写。しかし、彼女は自分のことを「ゴム人形」だと言うのだった。ゴム人形のように、誰ともかまわず寝る、その生き方に反して、彼女の姿は非常に人間臭い。そのギャップが私たちを魅了する。

大阪は西成、今で悪名高き場所だが、この時代はさらに薄汚れている。生きた心地もしない、閉塞的なサウナのような空間。彼女はそこを徘徊するのだ。この描写は『5時から7時までのクレオ』にも似ている。アニエスヴァルダは「歩きながら考えるよりも、感じる」と表現した。トメも、考えているようで何も考えていないのだろう。彼女の感覚で、ぼんやりと過ごす。何か起きた時は、ゴム人形のように感情を守って傷つくのを回避する。そんな彼女はこの地区を一生出ることはできない。彼女の生き方が通用するのは、ここでしかないのだ。この暑くて淀んでうす汚い、ここしか生きることができないのだ。それはそれで、彼女なりに嬉しいことなのかもしれない。その事実に確信を持って気づけた時、彼女は笑って喜ぶのだ。
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