『うち、なんや逆らいたいんや。』
田中登監督による、日活ロマンポルノの傑作!!
70年代の大阪・西成のドヤ街で春を売り、生計を立てているタチンボの娘・トメ。
本作は、そんな彼女の哀しくも、たくましい生き様を描いた作品です。
奥行きを感じさせる構図やスリリングなカメラワーク。
中でも、フレーム内フレームによる閉鎖感と通天閣からの街の全景を映し出すロングショットによる解放感の対比が非常に素晴らしい!!
そして、なんと言っても芹明香さん演じる主人公の気怠さの中に見え隠れする、繊細さと力強さがとっても魅力的。
今にも饐えた臭いが漂ってきそうなぐらいに、薄汚れていて湿っ気たっぷりな街並みがほぼ全編に渡りモノクロームで紡がれ・作り上げられた、退廃的で刹那的な世界観の中でも、たくましく生きる主人公の力強さが物凄くエモーショナルでした!!
どちらかと言えばロマンポルノというよりも、シリアスなタッチとオルタナティブな姿勢がATG映画に近いのかなーと。
(脚本の第一稿段階では、実際にATGとの提携話も持ち上がっていたそうです。)
内容的にはやや重めで、二進も三進も行かない状況に追い込まれる主人公の姿は一見すると悲観的にも捉えてしまいそうになりますが、必死に足掻いた末に楽観的で悲壮感を感じさせる事ないオチへと向かっていく様が非常に清々しい作品でした!
おすすめです!!
*爆発するラブドールが最高にクレイジーでした。笑