140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ヒックとドラゴン 聖地への冒険の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

4.2
【正解と言い伝え】

待ちに待った「ヒックとドラゴン3」。冒頭の潜入作戦の格好良さと間抜けさの共存からドラゴン解放運動とトゥースレスとその彼女が出逢うこととなる確定運命と選択のとき。バーク島の人口問題がドラゴン解放の因果を見せ、確実に雑多さと不衛生さがもたらす楽園の仲の居心地の悪さ。

今回は敵とのコンタクトと距離感がゲームを楽しむノリがゆえの鈍重さが見えつつ、本作のメインに据えるトゥースレスと彼女の不器用な求愛の長回しから、“旅立ち“をテーマにした変化の物語という避けられぬトレンドへと導かれる。地球空洞論に基づくオカルティックな聖地の美麗さと、人ならざる空間からややズレた位置からクライマックスバトルへ。やはり制空権を獲得するに足りるドラゴンと人を共存させたシーンは最高。

最後は積み上げた布石の上での決断。1作目の出逢いと対になるモーションが生み出すハイエモーションから、言い伝えによるドラゴンの立ち位置にほんのり現実にも希望を持たせ、彼らがドラゴン含め責任を持ち大人になる人生においての“旅立ち“映画となった。最後は救済というか「こうあってほしい」へのエクストラ解答だったのが愛おしい。