タキ

未来を花束にしてのタキのネタバレレビュー・内容・結末

未来を花束にして(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

邦題がよくない。「未来を花束にして」ではなんの映画がまったくわからない。いっそ原題ままのsuffragetteでよかった。
モードの視点から婦人参政権運動の様子が描かれていたが、葛藤をかかえ道半ばで脱落したものも含めて運動をつないでゆく女たちすべてが主人公であり、洗濯工場から救い出したバイオレットの娘をはじめその先の女たちの未来へとジェンダーの観点からも現在まで繋がっていると思う。
工場長のような下衆なセクハラ男、スティード警部のような活動家の女たちのウィークポイント(家庭と子ども)を突いてくる一見優しげにみえるが非情な仕事人間の男、モードの夫のような妻の給料はすべて取り上げ息子の親権者は自分だと法を主張するわりに妻がいなければ息子1人育てられない生活能力皆無の男、妻の管理もできないのかと同じ男でありながらすかさずマウント取り始める男ども、このダメ男のバリエーションは現代においてもちっとも減ってはいない。1世紀も前の話にいまだに共感できるとは大問題だ。時には大声で時には声なき声でいまだ闘いは続いている。
パンクハースト夫人役のメリル・ストリープの存在感はさすが。妊娠のために途中で運動から遠ざかるバイオレットは娘が工場長の餌食になってることも知ってか知らずかわからないが娘が洗濯女として稼いでくることに頼っていて、女が産む性であることのどうしようもなさが憐れな人物だった。同じ運動に携わっていても同じ方向を見ることはこんなにも難しいものなのだ。
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