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ジャージー・ボーイズのRのレビュー・感想・評価

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)
4.4
す!すばらしい! 昔、劇場に見に行って、今回もっかい見てみたら、劇場時より全然楽しめた! シェ〜〜リ〜シェリベイビ〜シェ〜〜リ〜シェリベイビ〜シェ〜エエ〜エエ〜エェエェリベイエイビ〜で有名なバンドThe Four Seasonsのバイオピック。前半は、1950年代ニュージャージーでヤンチャばかりして警察のお世話になりまくってるトミーとニックが、驚異的な高音ボーカルの持ち主フランキーをバンドに入れ、天才的な作曲の才能ボブを加えて、フォーシーズンズを結成。いろんなレコード会社にデモを送るも、なかなか相手にされず、ようやくチャンスをゲットしたと思ったらバックコーラスかよ!みたいなのを経て、ついにあの名曲シェリーでブレイク! ラジオやテレビに出演して飛ぶ鳥を落とす勢いで有名になっていく4人。って流れで、トミーがかなり癪にさわる奴やなーということを除いてはすべてがキラキラとワクワクで溢れてる。まさに青春映画の煌めき! みんな仲良しで浮かれてパーティー三昧…ところが、後半は様々な問題が次々と彼らに降りかかる。1回目見たときは前半がエキサイティングなのに対して、後半どんどんテンション落ちてって、残念すぎるしガッカリなもんだから、かなり長く感じたんやけど、今回は逆に前半がちょっと長く感じて、後半はめっちゃ短く感じた。なぜだろう、見るときの心境とは不思議なものだ。前半はシンプルやけど、後半は複雑な感情がいろいろ湧き上がってきて、いろんな思考を刺激するからだろう。何で彼らの関係と人生がうまくいかなくなってしまうのか、ついついいろいろ考えてしまう。その考察は最後にネタバレありで語るとして、とにかく全編音楽と演奏が素晴らしい。ホントに出演者がパフォーマンスしてるらしい。特に主人公のフランキーを演じるジョンロイドヤングが素晴らしく、顔が知り合いに似てるのもあってものすごく感情移入してしまった笑 ただ個人的にはジャージー流人情は受け入れがたいと思った…(でもそれがなかったらラストシーンもないことになるからなぁ、難しいもんです) 。イーストウッドはこんな青春映画でも相変わらずニュートラルな視点で、人物のだれにも心理的傾倒なく描いてて、見る人によって結構感じ方が変わるんじゃないかな、と思った。たぶん上述のジャージー流にキュンと来る人もたくさんいるはずなのである。あと、フランキーと奥さんとの関係とか、娘との関係、メンバー同士の関係性とか、ぱっと見の単純さとは裏腹に実はかなり複雑。イーストウッドの演出と編集の手際が良すぎて、何も考えずに見ると全部スーーっと流れて行くのではないかと思ってしまう。盛り込みすぎになりそうなほど沢山の要素を見事なバランスで魅せる手腕は驚異的。さらに、終盤には深い深い感動をちゃんと用意してくれてる。本編最大の悲劇のあとで、あの誰しもが知ってる名曲を披露するシーンは感動でブルブル震えたし、爺さんシーンはフランキーの老けメイクはうーん🙄て感じやったけどそれでも感動するし、その後のパッケージのシーンでは涙が溢れた! いやーすばらしい! というわけでここからほんのちょっとだけネタバレ。


さて、彼らの失敗の原因について。大きく三点あると思われます。忘備録的に軽くだけ書いとこっと。⑴お金。やっぱ人間関係をもっとも明白に蝕むのはこれですね。計画的な投機的借金は納得だが、だらしない借金はマズイ。⑵女。まず、自分の道を自分らしくまっすぐに突き進みたいと思ってる男は、女なしで生きる覚悟も持っておくべき。あと、コイツは自分の女、みたいに女に対する所有権を主張するのはおかしい。女もそんな風に生きてる男とくっついておいて、後から私は後回し!とギャーギャー騒ぐのはやめとくべき。お互い静かに離婚してくれ。たまたまピッタリの相手が見つかればいいが、見つからなくてもそれはそれでいいじゃないすか。⑶そもそも大人になると人間関係にずかっと深入りする感覚を失うので、男同士とか家族同士とかの友情もだんだん難しくなる。互いにちょっとずつ心理的距離を置き始め、少しずつ関係が薄れたり、相手のネガティヴな面が目についたりしだす。やがてとりあえず波風立たないように表面を繕うことだけに終始し始める。この問題の原因の在処は、畢竟、自分自身。自分が純粋さを失わないように生きるのみ。
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