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監視者たちのymdのレビュー・感想・評価

監視者たち(2013年製作の映画)
3.4
2007年の香港映画『天使の眼、野獣の街』の韓国リメイク作。リメイク元は未見。

監視班という架空(?)の警察部隊に配属された新人ハ・ユンジュ(ハン・ヒョジュ)が主人公の本作は、警察モノらしい明確な勧善懲悪論に則って進行する軽快なエンタメムービーに仕上がっている。

監視班という部隊の特性を活かした心理サスペンス的なストーリーテリングと個性豊かなメンバーの集団戦が心地よく、画面そのままに受け止められるスピーディーな明快さも確信犯的で非常に楽しい娯楽映画である。

ジワジワと黒幕に迫っていく前半のプロットは特に秀逸で、テンポ良く見せ場を効果的に配しながらメンバーたちの紹介のカットも兼ねる一連の流れにはグッと引き込まれるし、未熟なハ・ユンジュがチームの中で鍛えられていきながら徐々に才能を開花させていくシークエンスは若者の成長物語としても見所が多い。

監視班という設定こそ珍しいかもしれないけど、ハッキリ言えばめちゃくちゃベタで既視感に溢れたストーリーである。
特に終盤からクライマックスに至る流れはもう少しスマートな脚本にしてほしかったとも思う。
まるで日本のテレビドラマかよと言いたくなるような手垢に塗れた予定調和的な展開の連続にはさすがに少しばかり辟易してしまった。

そういうバランス感覚では2017年の『ミッドナイト・ランナー』の方がずっと巧みだった。ポップさとエグみを同居させるセンスと、警察モノとしてのクリシェからの軽やかな逸脱がこの『監視者たち』にももう少し求めたくなってしまった。

監視班という部隊の使命を投げ打ってまで己の信念を遂行する、というイズムは一見美徳に見えるかもしれないけど、そのエモーショナルの演出こそがベタなのである。
個人的には違う形でその先を見たかったというのが感想。

中盤まではとても楽しかっただけに鑑賞後の微妙な気持ちが残念であった。

でも『ビューティー・インサイド』とは違ったハン・ヒョジュの魅力が全開だったのでそれを堪能できただけでも価値ある映画である。
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