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美しい絵の崩壊のNMのレビュー・感想・評価

美しい絵の崩壊(2013年製作の映画)
3.3
まず風景の美しさ、壮大さに圧倒される。
あまり美しいので、これはこの後の崩壊と対比させるためかと予感すらする。
いくつもの伏線が隠してあって、観るとそれに翻弄される。

彼らの複雑な愛情は、どう捉えて良いか難しい。
何も問題がないようでもあるが、決して許されないことのようにも思え、未来がないようにも思える。
関係性の問題、そして年の差恋愛の問題が絡み合っている。片方だけでも大問題なのに、この関係は重量級。

相手を思って一人で泣き自分が悪者になる決断は、さすがに大人だと思った。

代わって現れる若い女性たちの魅力はあまり描かれていない。これでは圧倒的に、ロズとリルのほうが、深い愛や忍耐や思慮深さを持っているように思える。

しかし、一旦収めたものを、再び関係を戻すのは流石に良くなかった。
関係を無理に終わらせたのはやはり良くなかったのだろうか。
気持ちが整理できないまま次の恋愛に進もうとした。それが長年尾を引くこととなってしまい、余計に大きな代償となる。
別れた方が良いから終わらせる、というだけでは収まらない問題もあると知った。

「あなたはまとも」「じゃあ私のせい」というやり取りも印象的。
まともであろうとしたことが、かえって混乱を招いたとしたら。

意外に難しかった。ラスト、彼らは幸せになったのか?どうすれば良かったのか。この関係性にがんじがらめ、一生抜け出せず、はりつけにされたような四人。

もとから始めなければ良かった、彼らが美し過ぎるのが悪かった、などというつまらない答えしか出てこない。

いっそもっと本能に従い貫いていれば、傷付く人は最小限だったかも知れない。
そして、腹いせのように目の前の女の子を口説いたのも良くなかった。一時の遊びのつもりでも、運命がそれを許さないこともある。
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