Ricola

殺人カメラのRicolaのレビュー・感想・評価

殺人カメラ(1952年製作の映画)
3.3
ロッセリーニ監督によるファンタジーブラックコメディ。

主人公が聖アンドレアと名乗る老人からもらったのは、写真に写った人間や動物をさらに写すことで殺せてしまうという殺人カメラ。
彼はこれを利用して村の「悪人」を殺していく…。


作品の随所からネオレアリズモ的な演出を感じる。
人混みの中こちらを見つめてくる人々の視線は演技に見えない。

ストーリーのテンポが少し悪く、冗長に感じるような村人たちのやり取りにはちょっと退屈してしまったが、設定自体が特異であり、そういった面に多少目を瞑れる。

人間が人間を裁くことは果たして正しいことなのだろうか…。
欲に溺れた人々の盲目さ、悪人を消したからといって組織まで改革できるとは限らないということ。
現代社会でも当てはまることばかりのテーマで、とても興味深かった。

おとぎ話調のオープニングとエンディングの演出のおかげで、よりこの作品を喜劇に落とし込んでいた。
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