『ムカデ人間3』
原題 The Human Centipede III (Final Sequence)
映倫区分 R18+.
製作年2015年。上映時間 108分。
人間の口と肛門をつなげるというショッキングな内容で話題を集めた問題作『ムカデ人間』シリーズの第3弾アメリカ・オランダ合作。
監督・脚本は前2作も手がけたトム・シックス。
前作の二本と比べると、今作品は純粋かホラー映画と云うよりも、ブラックコメディ色が強いと感じました。

暴動数、医療費、離職率が全米ワースト1になってしまった刑務所の所長ビル・ボスは、州知事から解雇通告を受けてしまう。
囚人たちをうまく手なずけることができず困り果てていたビルに、忠実な部下ドワイトがあるアイデアを提案。
それは映画『ムカデ人間』をヒントにしたもので、囚人たちに究極の罰と抑止力を与えるばかりか食費さえも節約できる夢のようなアイデアだった。ビルとドワイトは、500人もの囚人たちをつなげて『ムカデ囚人』を作り出そうとする。

第1作目、第2作目で悪役（ハイター博士＆マーティン）を演じたディーター・レーザー＆ローレンス・R・ハーヴェイが、本作では別のキャラとして登場してましたし、2作目でセブリング博士を演じたビル・ハッチェンスは、今作品で受刑者488を演じていた。
また、北村昭宏は第1作目でカツロウ、第三部で333受刑者を演じてた。
役柄が変わると少々見方がかわる。
こないな役柄を演じるのは、反発も多大にあるだろうに、今作品出演後に何を望むんやろか。
『ムカデ人間』シリーズは、コンセプトだけでも衝撃的やったん云うまでもなく、映画監督トム・シックスの作中の行為に対する冷徹なアプローチも衝撃的やった。
イカれ拷問ポルノホラー映画の下火時代に登場した映画『ムカデ人間』。
当時、このようなジャンルは抽斗の中身を結構出尽くし感あった。
そんな折にマッドサイエンティストの視点を取り入れることで、新たな方向性を与えたのは確かやと思います。
前作1、2では、ディーター・レーザーがハイター博士役で出演し、シックスが今でも医学的に100％正しいと云い張る実験を実行する内容は、シリーズ全てとして、第1、第2作でシリーズの演出も出尽くした感はある。
仕方無しにブラックコメディに走ったのかと。
そこが、小生が頂けないとこ🥺。
『ムカデ人間1』より、『ムカデ人間2』は全てにおいておぞましさレベルを上げた。
そして、小生は今作品3を見る腹を括った。
毒を食らわば皿まで
なら、『ムカデ人間2』よりもさらに硬度に、そして高度で作品を描いて欲しかった。
方向性が全く違ってた。
今作品を単体でみてたなら違う感覚だったとは思うが。
第1作目『ムカデ人間』が衝撃的なコンセプトで、視聴者に空白を埋めさせることにより不安を煽ったのに対して、続編の『ムカデ人間2』は、より直接的な暴力で観る人を震え上がらせ衝撃度を高めることにおいては成功してた(良し悪しはは別として)。
ただ、前作の『ムカデ人間2』は、医療実験と称してペラペラの口実と、幼稚で拙く薄汚い(故に残虐性はましたが)中での、虐待と劣化を繰り返すと云う、実際の細かい部分で過剰さを見せる瞬間があった。
また、『ムカデ人間2』では同じ悪役を続投させるのではなく、ほぼ無言のサイコパスであるマーティン（ローレンス・R・ハーベイ）が、映画『ムカデ人間』に執着して、自らその場しのぎの実験を実行してた故に新鮮味も加味されていたが、今回は、そもそもが、医学的に100％不正確なただの殺戮のみ滑稽に描かれてた。
前2作を視聴経験してきて感じるのは、今作品『ムカデ人間3』が前2作を超えることができてなかったって思うことです。
また、期待通りではないし望んでいない展開やった。　
衝撃的なシークエンスという点でも前作に遠く及ばない。
一方、政治的・社会的風刺という点では、"100% Politically Incorrect "　
(直訳なら、政治的に正しくないかな。ただ、100%男女差別、平等な社会という観念から正しくないて感じに理解した方がよいかと)
ちゅうキャッチフレーズにふさわしく、最も見易い作品となっていた。
なにより、ディーター・レーザーの大げさな演技という形ではあるが、過剰な演出に手を染めいた。
悪名高い『ムカデ人間』3部作の、最初と第2作は、奇妙で、自意識過剰なまでの演出、映像で紛れもなく堅実に(震え上がらせる意味では)展開されていた。
しかし、残念ながら、ホラー界のイカロス的今作品は太陽に近づきすぎた。
個人的に今作品は、3部作の中で全てにおいてよろしくなかった。
いや、最近の記憶の中で最も失望したホラー＆コメディ映画の1つに数えるかな。
また、三部作最後に落とされた感じはするし余計に残念さは増す。　
今作品を単体で観たとしても、勿論、3部作のアンカーとしても、グロさにも妥協がみえたしあらゆる点で手抜きを感じた。
(あくまでも個人的にですが)
加えて消化不良さえ感じた。
2部作品で止めといたらよかったのになぁ。
お話は、刑務所長のビル・ボスとその助手のドワイト・バトラー（前作で悪役を演じたディーター・レーザーとローレンス・R・ハーベイがそれぞれ演じている）を描いている。
ボスは暴力的で堕落したカニバリズム愛好家の狂人。
極端な暴力と拷問こそが刑務所を管理できると信じている。
一方ドワイトは彼のすべての計画に従わざるを得ないヘタレ野郎。
しかし、DVDで前2作の『ムカデ人間』を見たドワイトは、囚人たちをコントロールするために、囚人たちを口と肛門をつないで消化器系をつなぎ閉じ込めて、コントロールしやすくし、犯罪者予備軍を抑止する作戦を立てる。
こないな展開は、クライマックスで狂気のフィナーレを迎えるには十分面白い設定やけど、実際、前2作で提示された堕落的な新しいことをやろうという自らの欲求に押しつぶされそうにってる。
今作品、最初の瞬間から閉塞的なフィナーレに至るまで、あまりにも遠くまで到達し、自分自身を引き延ばしている。
俳優の狂気じみたオーバーアクションに、バケツ一杯のゴア、ノンストップの冒涜的な言葉に、タブーに次ぐタブー破りで積み上げられた。
加えることの気持ち悪さ。
それでも、あまりにも大げさすぎて、もはやホラーともコメディとも判別できない。
下らなく感じてしまう。
その結果、この作品はあまりにも漫画チックになりすぎて（そのため、前2作と比べると衝撃的なほど手抜きに感じられる）、どうにも真剣に受け止めることができなかった。
明らかに目指しているセルフパロディコメディとしても、やりすぎ感もある。
特にディーターレーザーは、1作目では最高の存在感やっのに、この3作目では、たった一人で映画全体をブチ壊してる。
今作品には拍子抜け感が多大にあるし残念でしかない。
1作目は視聴者の想像力を参加させ衝撃を受けさせたし、2作目は直接的なヴィジュアルに訴えかけ衝撃を与えた。
そして、この3作目は、広範で倒錯した風刺的なコメディの領域へ引き込みたいんやろけど、残りのカスしか残ってない残骸を集めて、減速したかったんやろけど、そのタイミングと停止するタイミングがうまくいってなかった。
今作品を『ムカデ人間』三部作のトリと見たなら個人的には頂けない作品でした。
ただ、イカれ作品としては十分機能してるかと思います。

最後に繋げるのは500人？！
『ムカデ人間』シリーズ完結作！

一周回ってコメディっぽくなっていて、笑えてきた。

1は純粋にムカデ人間というものを作ってみた

2はムカデ人間が持つグロさ・惨さ・汚さを限界まで高めて観客に与える不快感を最大にしてみた

3はムカデ人間いっぱい繋げたら面白いんじゃね？
って感じでした。

本作の注目は500人のスーパームカデ人間なのですが、そこまでの前フリが長いです。というか殆ど前フリです。主人公の所長の頭のおかしい所業が壮大な前フリとして、めちゃくちゃ下品にですが、コメディっぽく描かれます。

前作が衝撃的すぎて、その後に観ると本作が霞んで見えます。全てがマシに見えてくるから不思議です。辺り一面に広がるスーパームカデ人間の絶景も衝撃的でしたが、個人的にはその後のもう一つの方がインパクト強かったです。

『ムカデ人間』シリーズを観るなら2作目だけは注意した方がいいかもしれません。頭おかしくなります。

それにしても『ムカデ人間1･2･3』を観る1日って……。思いっきり楽しい映画観てバランス取らなきゃ（笑）

• #こうだい2022

友人に誘われて1も2も観ていないのに3から観た。そして、1も2も観る日は永遠に来ないと悟ったのであった。完。