らくだ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のらくだのレビュー・感想・評価

4.0
第二次大戦中、ドイツ軍が誇る最強難度の暗号「エニグマ」の解読に挑んだ天才数学者アラン・チューニングと、その解析チームの軌跡を追う、大戦中の実話をベースにした人間たちのプロジェクトXドラマです。

このチューリング、我々が思うような「理系の天才」ステレオタイプともいうべき融通が利かず人の心の機微を汲み取れない偏屈なカタブツ、主人公なのにまったくもって好感が持てないこの造形で、さらにそれを演じるベネディクト・カンバーバッジの醸し出すガッチガチの曲者オーラが相まって最高の説得力を持つキャラクターが完成しています。
それが後半彼なりに不器用に歩み寄ろうとしてりんごを差し入れてみようとしたりするところや、暗号解読システムに昔の親友の名前を付けたりするのちょっとかわいくて、そこでちょっと好きになっちゃいますね(ぼくはチョロいので)人間の心を学習しようとするAIみたいで…


アラン・チューリングの実際の史実がもとになっている、という物語ではあるのですが、なんだかすごくフィクションっぽくて、まさしく事実は小説よりも奇なりを地で行ってますよね。このあとに明かされるチューリングの「秘密」と、それに対する迫害も含めて、ノンフィクションの人物にしてはキャラ設定や人生が壮絶で濃すぎる…こういう様々な「マイノリティ」を隠して生きなければならなかった時代、というのは想像するとつらいものがありますね…
らくだ

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