140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ギョの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ギョ(2012年製作の映画)
2.6
GW映画7番勝負番外編

マッ魚マックス〜腐りの国際ロード〜

フォロワーのslow様より依頼?を受けて

まず絵柄が想起させるのは週刊ストーリーランドという視聴者投稿型のアニメバラエティの異質さ。声優もガチの人たちではないので、デビルマンチックな悲鳴がやたらと起こるパニックの気持ち悪さを引き出しています。

作品の流れ自体は、導入からパニック発生までスピーディなためダレませんし、「ゾンビーバー」と事象内容は似ています。違うのはアニメーション作品であるがゆえに実写表現のリミッターを取っ払い、群衆パニックを描写できているところ。道路を埋め尽くす歩く魚のおぞましさ、滑走路を埋め尽くす歩く魚が引き起こす航空パニックモノの描写まで足を延ばすことも可能にしている。なんなら地下鉄事故シーンまで挿入して「ガメラ2 レギオン来襲」のような描写すら想起させてくる。「クローバーフィールド」もそうである。言ってしまえば、ゾンビパニック映画が日本文化に馴染まないがゆえに、”魚”という古来から採集してきた動物にそれを託すことにより、日常が蝕まれていくシーンに斬新さと程よいリアリティラインを引っ張ってくる。むしろ魚類のアレンジにより、サメ映画のトリッキーさも入込まれているので、ジャパニメーションゆえの価値がより腑に落ちてくる。

しかし今作の欠点というか、飲み込みづらい部分は、上記に挙げた展開のスピーディさである。この手の異質性のあるパニックモノの難易度を上げる着地点の設定が、中盤以降に明かされていくある仕掛けにより崩壊していく。これが「ゾンビーバー」等のB級映画と割りきったコメディ展開、みんな死ねばよかろう?という幼稚さが許される世界観ならいいのだが、今作はシリアスな世界観ゆえにその方向性にアクセルを踏めないように設定されている。今作の中盤〜終盤の仕掛けは、我々凡人には到底手が届かない、いわゆるマッドサイエンス的嗜好になっているがゆえに視聴者側に画面同様に腐ったものだが食べろという要求を受けているようで受け付け拒否が発生してしまう。例えるなら関西人に納豆、外国人に生魚を食べる文化があることをコミニュケーション不足の中で適用させようとしていることに類似するかと思う。

そんなこんなで最終的に何がしたいんや?という理解不能感が先行してしまい疲労だけが後を引く作品に仕上がっている。

まあ、ゾンビーバーやゾンビマックス見とけば?と思ってしまうんですよね。ワールドウォーZ的なエンターテイメントではないので…あっ!グエムルだわ、グエムル!思い出したグエムルだわ!ポン酢じゃないよ、ポン・ジュノのグエムル!バスの中の人が喰われるシーンとかグエムルだわ!
この不快感はグエムルだったわ!

あと触手シーンが女子キャラを襲うのは、萌えアニメじゃなくてもあるぞ!ToLOVEるみたいな絵柄じゃないけど…

追伸)
これ監督、ヨヨとネネの人じゃん!
ヨヨとネネはオススメします。
シュガーラッシュで諸星すみれのモンスター性に気づいた人は是非!