スキー場で休暇を過ごす一家が、突然雪崩に巻き込まれてしまう。幸い大事にはならずに家族全員無傷だったが、妻は夫がドサクサに紛れて家族を置いて逃げ出そうとしているところを目撃してしまっていた…というお話。
男としては夫のポンコツっぷりがかなりツラいものがあって、それを純粋に笑えればいいのだけど、自分がそういう状況になった時に果たして正しい行動がとれるか…と言われると、はっきりとYesとは言い切れないところが恐ろしい。というのも、夫はは自覚して逃げたのか無意識下で体が勝手に反応しただけなのかがいまいち明確でなくて、本能的に反応してしまったのであればいくら心構えていようと同じような行動をしてしまう可能性もあるわけで…。この夫の場合はその後の対応にも問題があったようにも思えるが。
ただ、妻の方も一方的に可哀想な人として描かれているわけでもなく、無関係のカップルを強引に巻き込んだりとねちっこーいやり方をしながら夫を追求しようとするあたりなんかは、ちょっとそれはどうなんだという気がしないでもない。
面白いのが、結局どちらの側に立って擁護するでも悪く言うでもなく、言ってしまえば明らかに小馬鹿にしながら描いているというところ。夫にも妻にもちょっとした見せ場みたいなものは用意されてるんだけど、前述のシーンなんかを見てると「でもこの人、根はあんな人間だし…」と思うと全くもって感動出来ないし、むしろちょっと滑稽に思えてきたりもする。
映画の作り自体も、妙に長い変な間があったと思ったら突然ホラーのような演出でこちらをドッキリさせてきたり、ラストには何が何だか分からない不条理スリラーのような展開が訪れたりと、結構不思議。
要するに、こういう滑稽さとか不条理さみたいなもの全部ひっくるめて人生ってこういうもんですよ…ということなのかもしれない。
(2016.95)
