140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ある優しき殺人者の記録の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ある優しき殺人者の記録(2014年製作の映画)
3.7
奇跡を起こす男

「コワすぎ」シリーズの白石晃士監督が起こる全編ワンカット演出による連続殺人鬼のインタビューとその真相。

その男は神に選ばれたのか?
それとも妄想か?
これは偶然の一致か?
それとも運命の交差か?

全編POV方式による白石晃士監督のお家芸的なフェイクドキュメンタリーの延長戦。難解な演出はないが、連続殺人鬼の話に耳を傾けられるかどうかで今作への没入度が変わってしまう。「この男は奇跡を起こせる!それを特等席で見たい!」と思えば、このライド感が堪らない。それを映像内で具現化しているのがカメラマンの田代。白石晃士シリーズではお馴染みのカメラマン。ついに異国の地へ…。田代が序盤で怯えながらも連続殺人鬼の魅力に取り付かれているだろう行動とそして何があってもこの事態を記録し続けようとする精神で観客側をグイグイ引っ張らせる。終盤に向け、日本人の新婚夫婦が加わり、乱戦模様に。グロにエロにある種リスキーな画面の混雑と解明されていく真実へのキー。もうどうしてこんなことに…と思わざるを得ないクライマックスの絶望感から最後の力を画面に映る全員が振り絞るところが、拙い願いと確固たる信念として昇華されるとき何が起こるのか?

見届けたならハッピーエンドな映画を次に見ましょう。
メリークリスマス。