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キョンシー/リゴル・モルティス 死後硬直のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.0
チンシュウホウvsキョンシー&幽霊!
『霊幻道士』らしさを全て捨て去り、陰惨でダークな方向に舵を切ったキョンシー映画。

『霊幻道士』のリブートということで色々とすっ飛ばしてコレを見ちゃいましたが、ビックリするくらい別物になってる…。キョンシー映画としてはアリだと思いますが、『霊幻道士』として製作する必要あったんかな。

あらすじ…
落ち目の俳優(主人公:チンシュウホウ)が貧民マンションに引っ越して来た。自分の部屋で幽霊に取り憑かれ自殺しそうになってるところを、料理人兼道士のオッサンに命を救われる。主人公は同じマンションに住む貧しい母娘に寄り添おうとするが、同時期に転落事故で夫を失った老婆が悪い道士に頼み込み強力なキョンシーとして夫を蘇らせてしまい…

ダークで退廃的な雰囲気は好みだし、登場人物たちがみんな誰かを失った悲しみを抱えていて、その悲しみや愛する者を思う純粋な気持ちが悲劇へと発展して行くというのも幽霊譚的で好き。

一作目ではポンコツ弟子のひとりで『Q』では道士だったチンシュウホウが主役というのはシリーズファンにとっては嬉しいことなんだと思うのですが、『霊幻道士』を期待して見ると肩透かし食らっちゃいますよね。清水崇がプロデューサーとなっていることも関係があるのか、かなりJホラーに近い作風になっています。

確かにビジュアル的凄みは感じるし、実際に冒頭でかなり惹きつけられて「面白いかも!」って思いました。要所要所で「おお!」と思うほどのカメラ・演出もあって良かったんだけど、スローモーションに頼りまくった演出はあまり好きじゃないんすよね…。喪失の物語ながらも特にストーリーへの魅力は感じなかったし、肝心の演出もどこか薄っぺらく感じる。

一作目の道士&弟子であるラムチェンインとリッキーホイが写った写真が出てきたり、キョンシー引き連れて来た役に立たない道士役だったアンソニーチャンが本作でも道士として重要な役割を担っていたりとオマージュ要素が強め。あとキョンシーだけじゃなく幽霊も一緒に出てくるのもシリーズ恒例なのかな。一作目でも『Q』でも出てたし。こういうのもアリなんでしょうが、リブートするならやっぱり従来路線の『Q』の方が好きです。
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