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メビウスのmQのレビュー・感想・評価

メビウス(2013年製作の映画)
3.3
ある普通に見える一家のお話。
主な登場人物は父と母、一人息子、そして近所の商店のお嬢さん、不良グループ。

綺麗な家を持ち、息子も綺麗な制服を着て、夫は書斎でどっしりと座っている所から映画は始まりますが、、ある1本の電話によって均衡はいとも容易く崩れ落ちます。
それは夫の不倫相手からの電話。
しかしこの監督が普通の愛憎劇を描くわけありません。
その夜…とんでもない事が起きます。妻が、夫の布団に手を掛け彼の局部を切り取ろうとしたのです…。気付いた夫はすぐ抵抗し、投げ飛ばされた彼女は諦めるかと思いきや、驚くべき行動へと走ります。

"メビウスの帯(輪)"という言葉はよく聞きますけど、表裏捻ってあるにも関わらずどちらの面も持ち合わせる連続性を持った帯、輪の事だそうです。
大切なモノ(笑う所なのか…)があったり無かったりする事によって変わってくるヒトの感情や身体に現れる変化はとても不思議なもので、この映画の人物は特にそれが顕著です。

その表と裏を上手く表現していたのはやはり母親と近所の商店の娘でしょうか。なんと同一人物の女優さんが演じているのですが、妖艶なシーンでもどこか雰囲気が違うので凄い。
この商店の娘こそ父の不倫相手だったのですが、息子もその後様々な事に巻き込まれてしまうのです…

そうやって結局抜け出せたと思った輪の中に気付いたら戻っていて、ぐるぐると吐きそうになるほど廻ってる事ほど恐ろしい事は無い…けれど"家族"という強固な血の縁だからこそ抜け出せないのでは。

やっぱり韓国の映画って自由で暴力的で面白いですねぇ…
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