マサキシンペイ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のマサキシンペイのレビュー・感想・評価

4.1
イニャリトゥ監督初のコメディ色が強い作品。かつ、断片的に映像を繋ぎ合わせて時間軸を複雑に交錯させるいつもの作風とは打って変わって、二時間カットなしで切れ間なく続く驚異的な長回しに(見えるように)作られている。
その二点に於いて、イニャリトゥの他の緻密かつ陰惨な雰囲気の作品群から強烈なコントラストを放ち、その振り切りっぷりが頗る痛快。なので、単体で見ても面白い映画だが、他のイニャリトゥ作品を通してから見た方が魅力が増す。

謎をはらんだラストシーンは、栄光の第二の人生に向かって羽ばたいたという、最大限希望に満ち溢れた描写として解釈すべきと思った。初めてのハッピーエンドに思える。

作品を通して、絶え間なく動き続ける画面と、演者のスピーディな台詞回しが、小気味良いドラムのBGMに乗せてリズミカルに展開していく。

過去作で大いに振るわれた、ストーリーテラーとして物語を華麗なロジックで魅せる確かなの構成の腕に頼らずとも、映像作家としてのリズム感だけで豊潤な映画を作れるという、イニャリトゥの多彩な才能が伺える快進撃の意欲作だ。