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しあわせはどこにあるのろのレビュー・感想・評価

しあわせはどこにある(2014年製作の映画)
5.0

”不幸を避けるのは、幸福への道ではない”


私は今、アランの「幸福論」を読んでいます。そんな私にとって、とてもタイムリーな作品でした。

”比較すると、幸せは台無しになる”
”時として幸せとは全てを知りすぎないこと”
”幸せとは天職に就くこと”
”幸せとは、心底生きている実感を味わうこと”

主人公は精神科医のヘクター。
ある日、自分の人生に価値を見出せなくなった彼は幸せ探しの旅に出る。

幸せって何だろう...?

ヘクターは中国、チベット、アフリカ、そしてロサンゼルスへ。
音楽や映像から感じる、その国特有の匂いや気候。

チベットのお坊さん。
「難民となり、信仰のために投獄され、家族や愛する人も失った。苦難の人生でなぜ幸せだと思うんだ?」
ヘクターの問いにこう答える。
「苦難を味わったからだよ」
苦しみや悲しみを経験したからこそ、その何倍も喜びを感じられるのだ。

ロサンゼルスでは心理学の教授が講義をしている。
「子どもの頃は何もかもが幸せに満ち、輝いていた。それが大人になると、何一つ上手くいかない。まるで毎日が幸せを探す旅のようだ。なのに追えば追うほど幸せは逃げていく。だから幸せ探しはほどほどにして味わうべきだ。何かを探すことの幸せを」


ヘクターは旅で出会った人々、遭遇した出来事を思い出す。
中国で豪遊する銀行家のおじさん、チベットで見た青空に はためく色とりどりの布、飛行機で出会った末期ガン患者、誘拐され殺されそうになった恐怖、そして最愛の恋人...。
ヘクターは気付くのだ。
自分にとってかけがえのないものは何か。
幸せとは何なのか。

ヘクターの中で、悲しみ、憎しみ、喜び...たくさんの感情が複雑に混ざり合って、感動の涙が頬を伝う。
「すべての感情、まるでオーロラのように光る感情。この光の混ざり合い。これぞ幸せだ」


アランの「幸福論」から印象に残った文章を2つ。

「私たちが耐えなければならないのは、現実だけである。過去も未来も私たちを苦しめることは出来ない。なぜなら過去はもう存在しないし、未来はまだ存在しないからである。
自分を苦しめているすべての人に言いたいこと。
現在のことを考えてください。人生は一瞬、また一瞬と続いている。そのあなたの人生のことを考えてください。あなたは今生きているのだから、今生きているようにこれからも生きていくことはできる。」

「喜びを目覚めさせるには、何らかのきっかけが必要です。赤ちゃんが初めて笑うとき、その微笑みは何かを表現しているわけではありません。
幸せだから笑うのではない。むしろ、笑うから幸せなのです。笑うこと自体が楽しいのです。」


パッと思いついて、すぐに旅に出るヘクターが羨ましい。
さらに旅行先で思わぬハプニング含めいろんな経験をして、たくさんの人と話すヘクターが楽しそうで、とても羨ましかった。

ヘクターに影響された私は早速日帰り小旅行プランを立てています(笑)カメラ片手に岡山や伊勢、伏見稲荷あたりに行けるといいな。せっかくの春休み、大いに楽しみたいです。


「人は誰でも幸福になる能力がある、権利がある、義務がある」
ろ