うめまつ

4分間のピアニストのうめまつのレビュー・感想・評価

4分間のピアニスト(2006年製作の映画)
3.8
ヒロインが凶暴過ぎる。常にギラついた野生の目で、触るものすべてを傷付けるような危うさにハラハラする。グランドピアノが運ばれる冒頭に大好きな「ピアノレッスン」を思い出した。許されぬ恋とピアノは相性が良い。物憂げで重たい映像美、冷たい湿度と閉鎖された空気感、静寂と喧騒のコントラスト、終始ヒリヒリとした痛みと共に緊張感が漂う。

鏡越しの演奏、正式なお辞儀、鍵盤の絵、割れない窓ガラス、青い車と赤いテレビ。曲がクレッシェンドになってジェニーの演奏に繋がるところや、厳かなピアノソナタが戦時下の病院の悲鳴にばっさり切り変わるところとか、音楽を巧みに使った演出がとても良かった。ラストの演奏シーンも圧巻だった。音も撮り方も好き。ただ余りにタイトルのままなのが感動を半減させてて勿体無い。
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