幽霊は存在する…
私は知っている…
ホラーではなく
ファンタジック
ゴシカルにしてロマンス
ホラーではなく象徴なだけ
セッティングに時間をかけます。優雅さ美的センスを漂わせ、スリリングなカメラワークからのワルツとロウソクのシーンは好きです。
ホラーとしてはあざとすぎる演出と幽霊の造形のモンスター感にはどうにも受け付けられない部分は多いですが、廊下の奥行きを生かした見てはいけない、見たくない空間の構成は、恐怖より不安感への傾きが大きい。
城のフェイズに入るまでのセッティングから待ってましたとそびえる城に向けての天然のレッドカーペット、そして血のイメージを植え付ける赤粘土の染み出し。このアイデアは唸らざるを得ない。
ホラーとしてのあざとさを存分に発揮しながらもホラーとしての枠組みに迷ってしまっては、今作のミステリアスかつファンタジックなサスペンスに乗れなくなるので注意力は損なわずに観なければなりません。「ミザリー」を彷彿とさせる脱出困難さと「フッテージ」と類似する古いギミックパーツによる謎の解明への道。
ギミックは美的で素晴らしいもののそれをド派手に使い切ることをしないがために思ったよりこじんまり。デットプールが屋敷に文句つけそう…
ただ一度動き出す展開にエモーショナルに加勢するジェシカ・チャスティンの湧き出るパワーとクライマックスに相応しいバトル展開には半笑いしつつのめり込みやすいアトラクション性あり。
ハイクオリティで踏み込むとファンタジックメタルやゴシックメタル的な騒々しさが出てしまうため、味合うのならテンションは程よい作品という印象。
本作は吹替え版にて視聴しましたが、ジェシカ・チャスティンの吹替えの甲斐田裕子さんの抜群の不気味かつエロティカル、さらに抑えてからグッと沸点に駆け上がる演技が、今まで聴いた覚えがないものだったので凄く良かったと感じました。