少し前に観た不良姐御伝が面白かったもんだから、鈴木則文監督の作品少しずつ観ていきたい。

予想外の着地。

土門峻ルックス良すぎ。サイコパスって昔からこんなイメージなのね。

刺しても撃っても大量の血が噴き出すの良い。

強姦魔同士の出会いが拉致されてた女の子にとっては最悪のタイミングなの良いね。

おしっこ勢い強すぎるだろ、吹いたわ。
2024
377

注：良い子は観てはいけません。

そもそもエログロナンセンスで文芸感覚なんて欠片もないソクブンを日活に招聘してロマンポルノを撮らせるなんて間違いでなくてなんだってーの。あー、いつもの東映ソクブンじゃねーか。

もうとにかく「文芸ってこんな感じだろ」みたいな適当感で作るから話ムチャクチャ、展開バラバラ、観客ハラハラ、心臓ドキドキになるっての。

まあ粗筋はほっといていいんだけど観ていて何度手を叩いて笑ったか。ああ、すいません、笑ってしまったのよ（あとで知ったけど脚本大和屋竺。「荒野のダッチワイフ」の人ね。じゃあしょーがねーやと納得）。

①ヒロイン波乃ひろみが放尿を我慢する。じっと視線を凝らす主人公。波乃のアップ、時計、アップ、時計の繰り返しのあと（当然時計の針はコチコチ）キャーと言いながら放尿する波乃。大洪水。なんだこれ。

②頭がおかしくなった八代夏子（芸能人設定）はカメラのサクラヤの屋上でストリップショー。どうもこれロケで撮っている感じがするんですけど。鷹揚な時代だなぁ。全裸になるとなぜか主人公に狙撃される。血がぶしゅー。ああ、これは寺山映画だよ。

③「ワインはおいりですか」そういって監禁室に行くとそこには囚われの岡本麗が！（若いころはご苦労さんです）。裸の腹にナイフを刺し、その血をワイングラスに。いや匂いでわかっちゃうだろ。にやりとする主人公。サイコパス通り越しているぜ。

④女性をなぶるときはシェパードにバターをなめさせる。あ、これが噂のバター犬か。初めて観たぞ。なぜか死体になった女性をみて鑑識が言う。「バターの匂いがする。あいつの仕業だ！」わかるんかーい！

⑤ソクブンの映画なんで菅原文太チョイ役で参戦。しかもトラック野郎の役どころ。完璧なるカメオ出演です。

とこれでもかの素敵展開。最後はなぜか主人公が鉄仮面をかぶり、涙が鉄仮面の間から流れるという親切設計。ああ、ひでえなぁ。でも嫌いじゃないなぁ。だってソクブンなんだから。

そもそも題名の「ダビデの星」に関してもヒットラーがユダヤ人と区別するために作ったと言っているけど、そんなの聞いたら国際問題だと思うんですけど。キリスト教の理解も適当だし。まあソクブンだから許してやるか。まあソクブンだから。

ちなみに主人公の母親役は飛鳥裕子。「夢野久作の少女地獄」なんかに出ている人ね。で黒崎輝（コータローまかり通るの人ね）と結婚してスキューバダイビングショップをやっていたんだけど今はお亡くなりになったらしい。合掌。好きな女優さんですよ。

• #ろく、にっかつを観る

キング・オブ・プログラムピクチャー鈴木則文監督制覇も使命の１つなんでアマプラ見放題落ちにあったのを発見した以上即鑑賞だよ。

原作はキング・オブ・ピカレスク劇画佐藤まさあきの代表作。強姦魔の犯された母から産まれ、資産家の教授の父から憎まれて育った新納達也は母を追い詰め自死させた父を殺し莫大な遺産を相続すると己の呪われた出自と偽善に充ちた世界への復讐の念から女性を拐い地下のSM部屋で凌辱の限りを尽くすという大問題作。当時、週刊誌がやれないバイオレンスやセックスを売りにしていた貸し本劇画業界からもその内容、描写が問題視されたことからも分かるように倫理的にも表現的にもアウトな作品。

これが日活ロマンポルノで製作された訳だから、この歪みんだ意識を持った青年の世界への呪詛というテーマの突き詰めは甘めで、ひたすらSMポルノ描写を見せることに主眼が置かれている。
今の視点だとドラマ性を付加したAVの監禁凌辱調教モノに過ぎない印象しか受けない。とは言え、最初の犠牲者が母の自死の原因になった父の愛人だったクラブのママ。彼女を宙吊りにして刺殺する。そして返り血を浴びたまま死姦する😨このシーンの猟奇性は鮮烈でただのポルノではないというメッセージが伝わる。因みに死姦されるママ、岡本麗さんだった。クロレッツのCMが浮かんだ人はかなりいい歳のはず😏

以後、達也が生贄にする女性は何も苦労知らぬ上流階級の娘だったり思い上がった芸能人で犠牲者達の無自覚な傲慢さが伝わるように演出されてる。だから、世界の欺瞞を撃つというテーマ性は確保されてはいる。これは数多の娯楽映画で反権力のメッセージを込めてきた鈴木則文監督のセンスだと思う。日活ロマンポルノの要請と原作の核を保つバランスを取る苦労が窺える。

でも、そんなにおもしろくはなかったし、出来もイマイチ。根本的に原作が鈴木則文監督の作家性と合わないんだよな。
鈴木則文監督の反権力性は社会から爪弾きされた者が強大な権力に立ち向かうヒロイックなものだから、資産家で社会的には圧倒的な強者である達也に思い入れを持てなかった気がする。
それと女性の精神を壊し奴隷化する陰湿で加虐性が強い凌辱拷問SM描写も東映でそういうものを撮り慣れてはいるけど好きなものではないはず。なので演出が凡庸になってる。そこが通俗的なポルノ感が出てエロ目当ての客のニーズに合ってたのかも知れないけど作品のテーマや達也のキャラクターから乖離してる。
達也も話が進む度にブレてくる。拷問のすえ自分に従順になった女子高生に絆されて解放する。好感持っちゃったんだよ笑
でも、初心を忘れずこの後も凶行を繰り返す。そんな中、実の息子の存在に気づいた母を犯した強姦魔の蛯原が達也の元を訪ねる。達也の犯罪に気づいた蛯原と『血は争えないな😌』と意気投合し親子で監禁凌辱を続ける。しかし、その父も殺す。最後は幼馴染みで父の親友の大学教授の娘（達也に惚れている）を毒牙にかける。不思議なことに彼女は達也の拷問凌辱を好意的受け入れる。二人は強く結ばれる。かなり不自然で困惑する。その訳は実の父に近親相姦を強要されてから背徳に魅せられてたと彼女の衝撃告白で何となく腑に落ちる。でも、尤もらしいがよく分からない理屈だよな笑
かなりショッキングで唐突かつ、エログロでキモい展開なんだけど、これだと歪んだ形で母性を求める可哀想な青年になってしまってる。前半、ナチのユダヤ人虐殺から人間の愚かさ絶望し平和のふりして人間の醜さから目を背ける社会へ怒り等などのウンタラカンタラが消し飛んでんだよ笑

日活ロマンポルノなんで裸と卑猥な痴態があればOKなんだろし、何より鈴木則文監督が気のりしなかったからこういう歪な結果になったのだと思う。

友情出演で菅原文太さんが出てくる。『トラック野郎』の星桃次郎🚛の役で笑
この陰惨な作品にそぐわないノーテンキでスケベな桃次郎を披露して消える。主要キャストとの絡みは一切ない。本当に無理やり入れた感じ。鈴木則文監督が気分転換したかったんだと思う笑 しかし、日活に出して良かったのかね笑