あまのかぐや

予告犯のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

予告犯(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

なんじゃこりゃ!わたし泣いてる!

たまたまWOWOWで放送していたのを見始めたら止まらなくなったよ。以前、映画館で流れていた予告編だけ見た限りではこんなストーリーはとても予想できませんでした。サイバーテロか、ネットやSNSを使った犯罪ものか、と思ってた。
気づいたら深夜にぼろぼろ泣いてた。

実はその制裁予告、なんて要素は全体の3割程度。サイバー犯罪者と警察公安の戦いなんてのも、そんなの主眼じゃありません。「犯罪チーム・シンブンシ」の目的は「そこ」にあるのだけど、その目的達成のためのツール程度。捜査本部や捜査班長の戸田恵梨香パートが、なんだかもたつくなぁとおもったらそういうことだったのですね。逆に戸田恵梨香側からしたら「そんなことのために・・・?」って言いたくなるのもわかる。

「誰かのためと思えば大きなことじゃなくても動く」
ネットカフェ従業員として出演、いまや売れっ子の窪田正孝くん、え、こんな役?と思ったら、この重いせりふですよ。それを必要としてるひとがあるならば、人から見たら小さかろう目的のためでも命をかけて動くこと、これが彼らを動かす動機そのものなのです。そんな彼らの動画をつかった「行動」に最後まで泣かされます。大きな組織の中で働く戸田恵梨香にはわからんだろうけどな!と苦々しく思いながら観ていましたが、実はそんな彼女の過去も(終盤にきてその過去シーンやや強引な感がありましたが)
戸田恵梨香、苦手なんですよねぇ。好きな人には申し訳ない。
かつぜつよくないし、品のない声としゃべり方、これで東大卒の警視庁キャリアかって。粗暴な班長にしかみえない。けどこの戸田恵梨香の役どころって、凛とした声音と堂々とした態度でネットで制裁を中継する生田斗真の対極におくがための演技なんだろうか。他の作品観てないからわかりません。
ネット犯罪や犯罪動画投稿、SNSいじめや炎上。日々の国内ニュースを観ているようで、身近すぎて胸糞悪くなる。チームに成敗されようが、完璧な爽快感なんてない。なんども言うけど、そこが作品の主眼じゃない。ラストの「予告」、チームのいのちをぶつけた最後の投稿だって匿名でやじるネット民たち。
派遣社員やニート、日雇い労働者、不法入国の日系人などなど洒落にならない社会の底からの小さくも激しい訴えであり、涙ぐましいチーム戦であり、友情のドラマでした。なにこ悲しいアベンジャーズたち。さまざまな弱さをもつ登場人物たちが力をつけてアッセンボー!とばかりに強大な悪に立ち向かう、なーんていうアメコミ調の物語を見慣れてしまったせいか、舞台が日本だからというせいか、身近すぎてリアルすぎて、・・・切なくて観ていられないシーンの方が多い。けどいろいろ考えさせられる。最後にひとこと「シンブンシ」メンバーのバランスがとてもいい。生田斗真、鈴木亮平、濱田岳、そして荒川良々。特に荒川良々・・・泣ける・・・・。
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