140字プロレス鶴見辰吾ジラ

キャロルの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.2
静かに愛の灯火は燃え続ける

同性愛=百合、ゆえに萌えとするセックスフレンド的な思考は圧倒的に無粋。

運命の人に出会い、その距離が近づいていく。吐息や鼓動が聞こえるところまで。

運命が社会によって寸断されてしまうのか?
そこに生じた想いのは、障害でなく障壁を乗り越える糧だ。
時代の偏見はあくまで背景でよく、ただ2人の女性が惹かれ合う様を女優の演技力がさらなる熱を注ぐ、静かに静かに。

ケイト・ブランシェットの引き込まれるような美しさ。
ルーニー・マーラーの無機質だが、たしかに感じ取れる内面の火。
ブリッジ・オブ・スパイのトム・ハンクスとマーク・ライアンスの静かに友情を紡いでいく描写を思い出した。


性交描写がこの上なく何かを掻き立ててくれるのは、そこにストレートな想いが内在されるからだ。

美しい愛の物語と書いてしまうととても陳腐になってしまうが、始まりから終わりの場面まで洗練された映画だと思った。