ぎー

キャロルのぎーのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.5
【第88回アカデミー賞特集3作品目】
"このうえもなく美しく、このうえもなく不幸なひと。キャロル、あなたが私を変えた。"

面白い映画ではない。
でも、そんな事関係なく名作である。
描かれるラブロマンスは、同性愛であり不貞。
だが、これ以上のラブロマンスがあろうか。
真の恋愛映画だった。
洋画のラブロマンスは個人的には邦画のラブロマンスと比して感情移入が簡単ではない印象がある。
まして本作は同性愛のラブロマンス。
にもかかわらず、完全に感情移入できた。
一つに、原作が実話だからという点があろう。
社会に適合しないことよりも何よりも、自分の感情を押し殺して、自分に嘘をつくことが辛い、自分の気持ちに正直に生きていきたい、という主人公達の想いが、しっかりと伝わってきた。

また、一つに映画がとてつもなくお洒落で上質である事もあるだろう。
とにかく画が綺麗。
一つ一つのシーンが輝いている。
画の中の光が踊っているのだ。
後から調べると、画作りのこだわりがとんでもない映画とのこと。
一つ一つの画を徹底的にトータルカラーコーディネート。
舞台となる50年代の雰囲気をしっかり出すために、デパートに陳列されてる一つ一つの商品含めて徹底的にこだわる。
そのこだわりが見事に結実して、この上質感に繋がっているのだと思う。

そして最後に演者の演技力だろう。
本作はケイト・ブランシェットとルーニー・マーラーのダブル主演。
この世界的な両女優がその圧倒的な演技力を如何なく発揮している。
余計なセリフを一切必要とせず、相手を愛したり、愛することを躊躇する心情が表情だけで十二分に表現されている。
この世界的な女優があそこまでするかと驚きを覚えた赤裸々なベッドシーンも含めて、圧倒的だった。

デパートの店員テレーズがキャロルにデパートで一目惚れする場面。
モーテルで2人が一線を越える場面。
親権審理でキャロルが自分の心情を発露する場面。
印象的な場面がいくつもあった良作だった。
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