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ベン・ハーのYYamadaのレビュー・感想・評価

ベン・ハー(2016年製作の映画)
3.6
オリジナルを凌駕する作品は!?
【リメイク映画のススメ】

◆本作 (リメイク作品)
ベン・ハー (2016)
・製作国: 🇺🇸アメリカ
・主演: ジャック・ヒューストン
トビー・ケベル
モーガン・フリーマン
・監督: ティムール・ベクマンベトフ
・製作費: $100,000,000
・興行収入: $94,061,311

◆オリジナル作品 (リメイク元)
ベン・ハー (1959)
・製作国: 🇺🇸アメリカ
・主演: チャールトン・ヘストン
    スティーヴン・ボイド
・監督: ウィリアム・ワイラー
・製作費: $15,000,000
・興行収入: $146,900,000

〈リメイク作品のポイント〉
・最新の映像技術により、古典名作を
 現代風演出にアレンジ

〈見処〉
①歴史的名作を無謀なるリメイク、
 その結果は…!?
・『ベン・ハー』は、2016年に製作された叙事詩ドラマ。
・本作の舞台はイエス・キリストが生きる紀元1世紀のエルサレム。名家に生まれたベン・ハーは、義兄弟であるローマ人のメッサラの裏切りにより、奴隷船送りとなり、家族は離散させられる。
・ローマ帝国の奴隷として長くガレー船の漕ぎ手となったベン・ハーは、海上戦に巻き込まれ転覆するが、謎の族長イルデリムに命を救われる。
・やがて数年ぶりに戻った故郷で戦車競争出場の機会をつかんだベン・ハーは、復讐心を内に秘め、競技場でメッサラとの宿命の対決に挑む…(eiga.comより抜粋)。
・本作は1880年にアメリカの作家、ルー・ウォーレスによる小説『ベン・ハー』を原作としており、1907年、1925年のサイレント映画、1959年のカラー映画、2003年のアニメ映画に続いて5度目の映画化。うち、1959年の作品は、チャールトン・ヘストン主演にてアカデミー作品賞、監督賞ほか史上最多11部門を受賞している歴史的名作。
・本作は、1959年版のリメイクではなく、ルー・ウォーレスの原作の新解釈と称して、『リンカーン秘密の書』のティムール・ベクマンベトフを監督に迎え、製作。しかしながらチャールトン・ヘストン版の歴史的名作との比較を余儀なくされ、興行収入は惨敗。製作したパラマウント映画はCEO交代を招き、ハリウッド大作にも関わらず、日本ではDVDスルー作品の憂き目にあった。

②結び…本作の見処は?
誰もが期待しなかった罪深きリメイクであるが、名作『ベン・ハー』として見なければ、なかなかの佳作。
○: 4時間近くに及ぶ1959版オリジナルに対して141分とコンパクトにまとまり、また、特殊効果、ロケ地や舞台セットは、オリジナルよりもリアリティを増している。
○: オリジナルよりも正義と悪の境は曖昧となり、また、ベン・ハーとメッサラの愛憎を超えた友情を描いているのは、好感が持てる。
○: 本作で族長イルデリムを演じるモーガン・フリーマンが作品にバランスをもたらし、愚作への転落を阻止している。
×: オリジナルより大きく尺を削ったことにより、イエス・キリストとベン・ハーの交差が減り、神々しさや宗教色は大幅に弱まる。一方、メインに据えたはずの馬車戦は、1959年版よりも必ずしも優れているとは言えず、オリジナルに勝る見どころは、挙げられない。
×: ローマに凱旋するシーンがまるごと削られ、ローマ帝国が純粋悪の存在と化しているのは、ハリウッド大作の悪しき描写。
×: ジャケ写が酷い。これではB級作品に見えてしまうのがもったいない。。

〈リメイク作品の判定〉オリジナル○
リメイク前から、決して上回ることが出来ない、無謀な製作と揶揄された作品ながら、リメイク出演者3人の熱演を見ると「駄作」評価は少々可哀想。オリジナル未鑑賞者には、本作の方が見易いと評価される方もいるかも。

演出    : オリジナル ○
配役    : オリジナル ○
特殊効果  : リメイク ○
ストーリー : オリジナル ○
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